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「改正教育基本法」が成立

  06年12月15日、教育基本法改正案が参議院で可決され、成立しました。教育基本法が現憲法に準ずる重要な「教育の憲法」と位置づけられ、1947年制定されて以来、初めての改定となります。
  法案は2000年、首相の私的諮問委員会の教育改革国民会議が基本法の見直しを提言したことを受け、2003年に中央教育審議会が出した答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」を もとに、人格の完成と国家・社会の形成に主体的に参加する心身ともに健康な国民の育成を教育目的とした改正案がつくられました。改正案はさらに、教育の目 標として、知識・教養の取得、個人の価値、正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力などの重視、生命や自然の尊重などを規定しています。そのほか、旧基 本法は「自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成」を目的にあげていたのに対し、公共の精神に基づく社会への参画への態度、伝統文化の尊重、国と郷 土への愛を目標にあげています。
  その他の規定では、義務教育が9年と規定されていたところ、「別に法律に定めるところにより」となり、学校教育について、教育目標を達成するための体系 的、組織的な教育が行われなければならないことが規定されました。また、新たに、大学教育、私立学校の規定が加えられ、それらの自主性の尊重が謳われてい ます。さらに、父母その他の保護者が子どもの教育について第一義的責任を有すると家庭教育に関する規定が加えられ、学校、家庭と地域住民の連帯と協力を求 めています。
  行政について、旧法は不当な支配に屈しないという規定だったのに対し、新しい規定では、それに本法及び他の法律の定めるところにより行われるべきものとし ています。また、政府に、教育の振興に関する基本的な計画を作成するよう求め、地方公共団体には計画作成に努めるよう求めています。
  日本弁護士連合会はこれらの条項が法律によって制限が可能になり、教育内容への国家の介入を抑制する歯止めがなくなると懸念を表明しています。参議院の教育基本法に関する特別委員会では、伊吹文部科学大臣が質問に答え、「国であろうと、例えば一部の政党を陥れようとか・・その考えをもって国が教育行政を行うことになれば、それは不当な支配になる可能性がある」と答えています。
  また、教育目標をあげた条項について、精神的自由が侵害される危険があると改正案に反対意見を出していました。
  そのほかにも、日本教育法学会は改正案が教育基本法の性質を教育の自主性保障から権力統制の正当化にかえ、国家道徳を強制するものであるなどの意見を発表したほか、日本社会教育学会など多くの団体が反対を表明していました。

参照:
改正教育基本法案 文部科学省
教育基本法案について 文部科学省
・教育基本法に関する特別委員会 11月24日第2号会議録 参議院
「教育基本法改正案 このままでは反対です」 日弁連
日本教育法学会教育基本法研究特別委員会

参考:教育基本法『改正』情報センター

(2006年12月15日 掲載)