アメリカに本部を置く国際NGOのフリーダムハウスは07年1月17日、2006年の世界の自由度の指標に関する報告「世界における自由度2007」を公表しました。その報告によると、2006年は特にアジアの地域の自由度の低下が大きいことが指摘されています。
フリーダムハウスは192カ国と紛争地域を含む14地域の自由度を表す、「世界における自由」を毎年公表しています。その指標は、政治的自由と市民的自由 の二つのカテゴリーで1から7の数字で表され、政治的自由については、自由で公正な普通選挙、公職への立候補、政党への参加などを含む、政治過程への参加 の自由に関する事項をもとに、市民的自由は表現、信仰の自由、結社の自由、法の支配や個人の自律などをもとに評価されます。その指標に基づき、各国を自 由、部分的に自由、自由がない国と分類されます。自由がない国とは、基本的な政治的権利を欠き、基本的な市民的自由が広範に制度的に否定される国とされて います。
報告は、2006年の世界の自由度が2005年からわずかに低下したほか、この10年近く、自由な国と評価された国の数はほとんど増えておらず、「自由の 停滞」が起こっていることを指摘しています。また、世界各地で人権のモニターやアドボカシーを行っている団体や報道などに対する「押し戻し」が起こってい ることについて懸念を表しています。
アジア・太平洋地域について報告は、特にタイのクーデターとスリランカの状況の悪化をあげています。タイは近年評価が低下していましたが、今回部分的に自 由から自由がない国に分類されてしまいました。また、中国も政治的自由や個人の自由について進展があまりなく、2006年には報道やインターネットの規制 が悪化したことや、人権活動家や弁護士の起訴などが行われたことがあげられています。
他にもクーデターのあったフィジーや台湾、ビルマ、マレーシア、フィリピンおよびソロモン諸島でも若干低下しました。明るい点としては、ネパールでは、議 会の再開や法の支配の復活への動きがあったことから、自由がない国から部分的に自由に分類されました。日本は自由な国に分類されていますが、1976年に 自由と評価された国で、2006年にも自由とされた国は日本だけでした。アジアで2006年に自由とされた国は他に韓国、インド、台湾、インドネシアなど があります。一方、カンボジア、ラオス、モルディブ、中国、ビルマ、北朝鮮などは自由がないとされました。
参照:フリーダムハウス 1月17日付プレスリリース "Freedom in the World 2007: Year Marked by Global "Freedom Stagnation," Setbacks for Democracy in Asia"(英語)
(2007年01月03日 掲載)