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労働契約法制、労働時間法制に関する労働審議会答申

  厚生労働省労働政策審議会は12月27日、「今後の労働契約法制の在り方について」と「今後の労働時間法制の在り方について」を答申しました。
  企業の経営状況の変化などによる、出向や転籍、「非正規」労働などの増加による労働形態の多様化、個別労働紛争の増加などを受けて、厚生労働省は同審議会 に対して、労働契約法制については 05年9月、労働時間法制については 06年2月に諮問をしていました。諮問に先立ち、それぞれ厚生労働省の研究会の報告が出されていましたが、労働契約法制に関しては、労使対等の立場での自主的な労働条件決定のための公正で透明な労働契約法制が必要であると報告していました。また労働時間法制度に関する研究会は、仕事と生活の調和をはかることの必要をあげ、年次有給休暇取得促進や時間外労働の割増率の見直しのほか、「自立的に働き、かつ、労働時間の長短ではなく成果や能力などにより評価されることがふさわしい労働者」について裁量労働制を見直すことなどが含まれていました。
  27日に出された労働契約法制に関する答申では、労働契約の締結、変更について労使対等の立場における合意に基づくことが確認され、使用者が職場での労働 者の生命、身体の安全を確保する配慮をすることなどが原則にあげられましたが、異なる就業形態の労働者に対する均等待遇原則は引き続き検討するとされ、含 められませんでした。解雇については、労働基準法の解雇の濫用に関する規定(18条の2)を労働契約法に移行することがあげられたほか、整理解雇について は、判例の動向もふまえて引き続き検討とされ、金銭による解決は含まれませんでした。また、有期契約について、契約期間中はやむを得ない理由がない限り解 約できないこと、使用者が不必要に短期の有期労働契約の反復更新をしない配慮をすることなどが答申された一方、有期労働契約を利用できる理由、更新回数や 期間の制限や、均等待遇原則は引き続き検討の対象とされました。
  労働時間法制に関する答申には、長時間労働抑制のために、長時間労働者の時間外労働の割り増し賃金率をあげるなど時間外労働削減のための措置や、年次有給 休暇の時間単位の取得を可能にするなどが含まれています。また、「自由度の高い働き方にふさわしい制度の創設」として、労働時間で成果を評価できない業務 につき、権限、責任のある地位にあり、時間配分などについて使用者が具体的に指示をしない、かつ年収が相当程度高いホワイトカラーについて、労働時間の規 定の適用除外(ホワイトカラー・エグゼンプション)として時間外労働にあたらないとすることもあげられました。

参照:
「今後の労働契約法制の在り方について」「今後の労働時間法制の在り方について」の労働政策審議会からの答申について 厚生労働省
今後の労働法制時間制度に関する研究会報告書(ポイント) 厚生労働省
「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告書(ポイント) 厚生労働省

参考:連合事務局長談話 労働条件分科会「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」に関する談話

(2007年01月02日 掲載)