07年3月14日、内閣府男女共同参画会議の女性に対する暴力に関する専門調査会は「配偶者暴力防止法の施行状況等について」の報告書を公表しました。配偶者暴力防止法(DV防止法)は01年 に施行され、04年に改正されましたが、施行後3年をめどに、施行状況などを勘案、検討し、必要な措置をとることを規定しています。調査会報告は、改正法 施行後の課題をあげ、法律、基本方針の見直しに役立てたいとしています。
調査会は、保護命令の対象に身体的暴力だけでなく、脅迫も加えること、現行法では、本人が被害者につきまとい、または家や勤務先などの付近を徘徊すること を禁止することに限定される接近禁止命令に、電話、ファックスやEメールなどによる接触を含めること、保護命令の対象に被害者の親族や支援者を加えること などをあげています。04年の改正で、DV防止法は暴力を身体的だけでなく、精神的暴力も含める規定となりましたが、後者は保護命令の対象とはされません でした。また、当初配偶者だけであった保護命令の対象も改正によって、元配偶者、子どもにも拡大されています。07年1月に公表された、「配偶者からの暴力の被害者の自立支援等に関する調査結果」[PDF164KB]では、 配偶者と離れた後、54.7%の被害者が追跡されたことがあると回答し、その内容は、62.3%がメールや手紙が来たと答え、54.3%が友人や実家に現 れたと答えています。実際に被害者の親族や支援者が被害を受ける事件も発生しています。
また、被害者の自立支援に向けて、当面の生活費や住居の確保などの支援策の拡充や、関係機関の連携・強化をあげています。また、医療関係者は、被害者と思 われる人を発見した場合に支援センターまたは警察に通報できるほか、被害者に支援センターなどについて情報提供するよう努めることが法律に規定されていま すが、実際には適切に行われていないことも課題としてあげられています。
1月の調査では、対象の93%が子どもがいると答えていましたが、調査会の報告は、子どもに対する心のケアも含めた支援の充実が必要であるとしています。 ほかにも、婦人相談所、支援センターや民間団体の充実、支援や加害者のプログラムの検討などが課題とされています。
一方、警察庁は3月8日、06年中認知したDV件数が18,236件と、前年から8%増加したことを報告[PDF12KB]し ています。
参照:
・「配偶者暴力防止法の施行状況等について」 内閣府男女共同参画局
・「配偶者からの暴力の被害者の自立支援等に関する調査結果」[PDF 164KB] 内閣府男女共同参画局
・「配偶者からの暴力事案の対応状況について」[PDF 12KB] 警察庁
参考:改正DV防止法が成立 (5/27) ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2004年6月)
(2007年03月08日 掲載)