第4回人権理事会が07年3月12日から30日に開催されました。最初の2日半は、各国の閣僚や高官がスピーチ を行うハイレベル会議で、日本からは浜田昌良外務大臣政務官が出席し、日本の外交政策において、人権、法の支配および民主主義の価値を柱として 強調していること、北朝鮮の人権状況に関する特別報告者などの特定の国に関する特別報告者の重要性などについて話しました。
今会期では、そのほかスーダンのダルフールに関する報告(A/HRC/4/80)や他の作業部会、特別報告者などの報告が審議されました。
ダルフールに関しては、06年12月に、理事会の特別会期が開催され、調査団を派遣することを決定しましたが、スーダン政府から入国査証が発行されず、隣 国チャドの難民キャンプなどで調査を行いました。
報告は、ダルフールで重大な人権侵害や人道法の違反が起こっており、アフリカ連合や国連などが重要な措置をとっているにも関わらず、それらが不十分である と述べ、スーダン政府が、国際的な犯罪から住民を保護する責任を全く果たしておらず、むしろ犯罪を組織し、または加担しており、それによって国際社会の、 住民を保護する責任が緊急性をもって生じていると結論づけていました。
理事会は3月30日、ダルフールに関して、使節団がスーダンに入国できなかったことを遺憾とし、紛争当事者に、民間人への暴力を直ちに停止し、和平合意の 当事者に合意内容を実施し、まだ合意に加わっていない紛争当事者に加わることを求める決議を採択しました。またその決議で、スーダンの人権状況に関する特 別報告者や他の関連する特別報告者などによるグループをつくることを決め、スーダン政府、アフリカ連合の人権機構などと協力して、人権理事会や他の国連機 関の決議や勧告の実施をフォローし、促進することを要請しています。
理事会は、ほかにも宗教の中傷、グローバル化の人権の享有への影響などの決議を採択しました。また、社会権規約委員会の地位の是正に関する決議も採択して います。社会権規約委員会は、他の人権諸条約の下で設置されている委員会と異なり、条約に規定されておらず、経済社会理事会決議によって設置されていま す。決議は、人権の相互依存性と不可分性を強調し、この委員会を他の委員会と同等の地位におくよう、調査や対話を始めるよう求めています。
そのほか、人権教育の世界プログラムに関する決議案を含む4つの決議案の審議は次会期に先送りされました。次会期は6月に予定されています。
参照:
・OHCHR第4回人権理事会 (英語)
・OHCHR 3月12日付プレスリリース "Human Rights Council Hears from Seventeen Dignitaries as It Continues High-Level Segment" (英語)
・OHCHR 3月30日付プレスリリース "Human Rights Council Adopts Seven Resolutions and Two Decisions, Including Text on Darfur" (英語)
(2007年04月06日 掲載)