近年続発している左派活動家や教会関係者、ジャーナリストなどに対する政治的殺害事件を調査するために、「超法規的・即決・恣意的殺害に関する国連特別報 告者」のフィリップ・アルストンさんが07年2月にフィリピンを公式訪問しましたが、第4回人権理事会において3月27日から28日にかけて、予備的考察(中間報告)を発表しました。また、これを受けてフィリピン政府 がコメントをするとともに、フォーラム・エーシアなど国際NGOの4団体が「アルストン報告」を支持する声明を発表しました。
中間報告では、フィリピン国軍が反政府勢力である共産党とその軍事部門である新人民軍(NPA)と、市民社会で合法的に社会・政治活動している集団とを結 びつけ、戦闘対象リスト(order of battle)を作成するなどして、政治的殺害の多くに関与していることを指摘したうえで、司法を含む政府機関は人権の保障に傾注するよう勧告していま す。同報告者はまた、国軍が多くの殺害事件が起きていることに対して効果的に説明することを拒否し、十分な証拠を示さずに、左派活動家は共産党内の粛清の 一環であると主張し続けていると説明しました。
この報告に対して、フィリピン政府代表は、政府としても問題解決に向けて様々な努力をしていることをあげました。また、特別報告者の入手した国軍から漏洩 したとされる戦闘対象リストの真贋を確認するために複写を提供する要求などを行いました。
参照:"Preliminary note on the visit of the Special Rapporteur on extrajudicial,summary or arbitrary executions, Philip Alston,to the Philippines (12-21 February 2007)" (英語)
参考:国連が、フィリピンで続発する 左派活動家の『超法規的処刑』(政治的殺害)を現地調査 ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(07年2月)
(2007年04月05日 掲載)