2007年5月22日、韓国の法務部(省)は、今後5年間の韓国政府としての人権政策のロードマップとなる「国家人権政策基本計画」[韓国語](National Action Plan for the Promotion and Protection of Human Rights、「国内行動計画」)を策定し発表しました。
既に、韓国国家人権委員会は、2003年から政府に対する「国家人権政策基本計画」の勧告案作成の作業を進め、2006年1月に勧告案を確定し、2月に政 府に勧告しています。
この勧告案を受け、政府は、法務部(省)を中心に関係省庁で協議を行った結果、策定にいたりましたが、政府レベルで人権政策に関する総合的な計画が出され たのは初めてのことです。
法務部は、今回の「国家人権政策基本計画」は、政治・経済・社会・文化などあらゆる分野に関わる権利を網羅し、女性、障害者、移住労働者、低所得者などの 社会的弱者やマイノリティの人権保障に重点を置いたとしています。また警察留置場の改善、受刑者の社会復帰への取組みなどにも言及しています。
しかし、現在、韓国社会で争点となっている、死刑制度廃止、国家保安法廃止、良心的兵役拒否の認定等の問題については、継続して検討するということで留保 しています。一方、国家人権委員会の勧告案では、死刑制度と国家保安法の廃止と良心的兵役拒否者への代替の服務制度導入をするよう勧告していました。
「国家人権政策基本計画」(「国内行動計画」)は、93年の世界人権会議での「ウィーン宣言と行動計画」において各国政府に対しその策定が勧告されたもの ですが、法務部の資料によると、93年にオーストラリアが最初に策定して以来、2007年4月現在で20数カ国が策定しています。
出所:
・韓国法務部ウェブサイト「法務部ニュース」 [韓国語]
・韓国法務部人権局ウェブサイト [韓国語]
・ハンギョレ新聞2007年5月22日付記事 [韓国語]
参考:韓国の国家人権委員会が「国家 人権政策基本計画」を勧告。一方、韓国法務部(省)が「2006年人権ビジョン」を発表 ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ(2006年1月)
(2007年05月07日 掲載)