07年4月30日から5月18日まで、拷問等禁止条約に基づいて設置されている拷問禁止委員会が開催され、9日、10日に日本における同条約の実施に関する第1回報告が審議されました。日本は同条約に99年に加入しています。
審議では、自白の偏重、取調べの録音・録画、代用監獄など日本の警察での取調べや刑務所内の処遇、入国管理センターの処遇や難民、難民申請者の扱い,「従 軍慰安婦」などについて委員から日本の政府代表団に対して質問が出されました。
委員会は報告と審議に基づいて、懸念事項と勧告を公表しましたが、そのなかで、受刑者処遇法やそれに基づく刑事施設視察委員会や不服申立て制度 が設置されたこと、人身取引対策行動計画がつくられたことなどが積極的側面としてあげられました。
一方、日本の刑事司法や、入管政策などに関して懸念が示されました。代用監獄の利用や警察での取調べに関し、実効的な監視制度がないことや権利保護のため の司法手続きが不十分であること、弁護人へのアクセス・同席が制限されることなどが指摘され、未決勾留の処遇を国際的な基準に合致させるよう改善が勧告さ れています。また、警察に拘束されている間の処遇に関する苦情制度がなく、刑事施設の不服申立て制度などでも完全に法務省から独立しておらず、十分な調査 権限がないことがあげられています。そのほかには、刑務所の過密状況や独居拘禁、死刑確定者の処遇、性的暴力、特に「従軍慰安婦」への救済が不十分である こと、法執行官による拘束中の女性や子どもに対する性的暴力を含む暴力や虐待について懸念が表明されています。
出所:
・拷問禁止委員会第38会期 (国連人権高等弁務官事務所) (英語)
・人権高等弁務官事務所プレスリリース5月9日付 "Committee against Torture Begins Review of Report of Japan" (英語)
・5月10日付 "Committee against Torture Hears Response of Japan" (英語)
・第1回政府報告 外務省
(2007年05月09日 掲載)