アジア・太平洋国内人権機関フォーラムによると、フィジー人権委員会は国内人権機関の国際調整委員会 (ICC)を07年4月2日に、続いてアジア・太平洋国内人権機関フォーラム(APF)を翌3日に脱退しました。
フィジーでは2006年12月に発生した軍のクーデターにより、民主的に選ばれたガラセ首相が強制解任され軍が実権を把握したことをうけて、ICCはフィ ジー人権委員会のパリ原則への準拠について再検討していました。ICCやAPFではそのメンバーシップを得る又は維持するためには、パリ原則(国 家機関(国内人権機関)の地位に関する原則)への準拠が条件となっています。
ICCでメンバーシップ資格を審議する認定委員会は、現在のフィジー人権委員会の委員長が軍により任命されていること、そしてクーデター後の人権委員会の 活動についてその独立性に疑問がもたれると指摘し、ICCは07年3月にジュネーブで開かれた第19次セッションにおいて、フィジー人権委員会のAステイ タスのメンバーシップ(注)を保留することを決定し07年10月のセッションまでにパリ原則への準拠を証明する文章を提出するよう要請していました。同様 にAPFもフィジー人権委員会のパリ原則への準拠について審査することを07年3月20日に決定し、APFのメンバー機関をフィジーに派遣し協議するなど していましたが、07年4月にフィジーは脱退を表明する文書をICC及びAPFに提出し脱退しました。
2007年3月にもたれたICCの第19次セッション[PDF67KB]では、フィジー以外のアジア・太平洋地域 の国内人権機関では、ネパールがメンバーシップの認定について再審査の対象となっており、(現在はAステイタスですが、06年7月以来委員長、委員が任命 されていない状況です)、次のセッション(2007年10月)までに委員の任命や任命の過程報告や新憲法の制定による1997年人権委員会法の改正などに ついて情報を提供することを求められています。またスリランカについて人権委員会の委員の任命が人権委員会法に基づいているかどうか明確でないことや、そ の活動が政治的影響などを受けずバランスが取れているかどうか明確でないと指摘され、次のセッション(2007年10月)でメンバーシップの再審査が行わ れることが決定されています。ほかにアフガニスタン人権委員会がメンバーシップの申請をしていましたが、政府補助の金額や委員の任命方法などの情報の追加 をもとめられ認証は保留、現在はBステイタスのヨルダンの国家人権センターは、補助金のほか、理事会メンバーの任命手続きにおける多元性や透明性の確保に ついて追加情報を求められBステイタス維持と決定されています。
注:
ICCのメンバーシップは、A, A(R),B,Cの4つのステイタスに分類されています。
A:パリ原則に準拠=メンバー
A(R):提出すべき文書の不備によりAステイタスの認証を保留
B:オブザーバー(パリ原則に完全には準拠していないあるいは、審査に必要な情報が不十分)
C:パリ原則に準拠しない
出所:
・APF, "Fiji HRC resigns from ICC and APF" (英語)
・International Coordinating Committee of National Institutions for the Promotion and Protection of Human Rights [PDF 67KB] (19th Session,Geneve, 22nd March 2007) (英語)
(2007年06月07日 掲載)