人の世界的な移動や移住の問題に取り組む国際機関である国際移住機関(IOM)は2007年6月、東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力で、カンボジ ア、インドネシア、フィリピン、タイにおける人身取引についての報告書『ASEANと人身取引:データを人身取引根絶に活かす』を発 表しました。
報告書では、上記4カ国における人身取引問題に直接関わる政府省庁・機関ごとに人身取引に関するデータの収集や取扱いの現状と問題点を報告するとともに、 改善すべき点などについて提案しています。人身取引には表面に現れにくい犯罪組織が関与していることから、正確なデータを収集することが困難であるという 各国共通の課題を踏まえたうえで、信頼できるデータを定期的に収集したり、個人情報などが流出しないよう適切な情報管理をするような優れた実践を提唱して います。そして、データは人身取引問題への対処に有用な情報や知識として活用されるべきだと述べています。(ボリュームは、英文でA 4サイズ、145ページ。)
ASEANは、2020年までにASEAN共同体の設立をめざしており、「ASEAN憲章」の起草をはじめとして、いくつもの共同の規範や取り決めづくり が進められていますが、04年にはとりわけ女性と子どもの人身取引と闘う宣言も出されています。
(注)ヒューライツ大阪では、Trafficking in Personsを通常は「人身売買」と表現していますが、IOM駐日事務所では「人身取引」としていることから、今回は「人身取引」に統一しています。
出所:
・国際移住機関駐日事務所 プレス・ブリーフィング・ノート日本語版 2007年6月28日
・ASEAN と人身取引:データを人身取引根絶に活かす (ASEAN and Trafficking in Persons: Using Data as a Tool to Combat Trafficking in Person) (英語)
参考:ASEAN域内における地域的 人権保障メカニズム設立へと一歩前進 ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ2005年12月
(2007年06月23日 掲載)