07年5月25日、参議院本会議で児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案が可決され、改正児童虐待防止法が成立し ました。改正案は、子どもの虐待事件が増加する中、行政のとり得る措置の強化に向けて、衆議院の青少年問題に関する特別委員会が提出していました。00年 に制定された児童虐待防止法は、04年に改正され、子どもの虐待の定義がネグレクトや、ドメスティック・バイオレンスの目撃など間接的なものも含むよう拡 大され、警察の援助や地方自治体の責務が規定されるなど強化されていました。しかし、その後も重大な虐待事件が発生し、子どもの安全確認や関係機関の連携 強化に向けて、48時間以内の安全確認が望ましいことや、在宅の事例についての定期的なフォロー、関係機関の情報共有などがあげられた、 関係指針などの改正が07年1月に行われたところです。
改正法では、市町村、または福祉事務所の長の安全確認義務が努力義務であったのが、「必要な措置を講じる」義務とされたほか、都道府県知事に、虐待が行わ れているおそれのある場合に、その子どもの保護者に子どもを伴って出頭することを求めることができ、求めに応じない場合には、立ち入り調査などの措置をと ることを規定しました。立ち入り調査が拒否された場合には、子どもの安全確認と安全確保のため、家庭裁判所、簡易裁判所の裁判官の許可状により、児童相談 所の職員が強制的に立ち入ることができるとしています。
さらに、勧告を受けた保護者がそれに従わず、必要がある場合には、子どもを一時的に保護するなどの措置をとることができるようになるほか、施設に保護され ている子どもへの面会・通信の制限、都道府県知事による保護者に対する子どもへの接近禁止命令なども規定されました。
出所:
・児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案 衆議院
・児童虐待防止対策の強化について 厚生労働省
(2007年06月04日 掲載)