07年6月7日、厚生労働省は「終末期医療の決定のプロセスに関するガイドライン[PDF128KB]」を公表しまし た。回復の見込みのない患者の延命など治療の中止や不開始に関しては、91年の東海大学の事件に関する横浜地裁判決のなかで、いくつかの基準が示されるな どしていますが、特定の規則やガイドラインは作成されず、その後も延命治療の停止などで、本人や家族の意思確認の有無が問題になるなどしていました。厚生 労働省は87年から数度、検討会を開催し、終末期医療について議論を続けていましたが、06年9月にガイドラインの「たたき台」[PDF119KB]を公表し、一般からの意見を募集し、専 門家による検討会を06年末に設置し議論を続けていました。
ガイドラインは、最も重要な原則として、医療従事者からの「適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人 による決定を基本とした上で」進めることとして、患者とその家族のインフォームド・コンセント(十分な情報に基づく決定)と、担当医だけでなく、看護師、ソーシャル・ワーカーなどによる医療・ケアチームと家族、患者の間の「合意形成の積み重ねが 重要」[PDF215KB]としています。そして、医療における決定について、患者本人の意思が確認できる場合と、できな い場合をあげ、できない場合の判断手順をあげています。また、「たたき台」では、積極的安楽死について、医療として認められないとしていましたが、公表さ れたガイドラインでは、「本ガイドラインでは対象としない」としています。
一方、患者の状態が終末期かどうかについては、解説編で、「患者の状態を踏まえて、医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべき」として、定義をして いないほか、刑事責任や医療従事者間の法的責任などについては、引き続き検討事項としています。
出所:
・終末期医療の決 定のプロセスに関するガイドライン [PDF 128KB] 厚生労働省
・終末期医療の決定のプロセスに関するガイドライン解説編 [PDF 215KB] 厚生労働省
・終末期医療に関するガイドラインたたき台 [PDF 119KB] 厚生労働省
(2007年06月10日 掲載)