韓国の国防部(省)は、9月18日に、宗教的事由等による兵役拒否者に対して、代替服務を認める方向で、法改正などを推進することを表明しました。韓国で は19歳以上の男性に兵役義務がありますが、国防部の報道資料によると、毎年、750名余りの兵役拒否者が出ていて、その大部分が懲役刑などの刑事処罰を 受けています。今回、国防部が推進しようとする内容は、宗教的事由などによる兵役拒否者の代替服務を社会服務制度の中に含め、24時間介護が必要な認知症 の高齢者や重度の障がい者の介護など難易度が高い社会サービスにのみ限るというものです。また、服務にあたっては、その該当施設に合宿しなければならず、 期間も現役兵の約2倍にあたる36ヶ月程度を検討しています。
こうした政府の方針に対し、野党のハンナラ党や在郷軍人会などは即時に反対をしています。一方、国家人権委員会は、同日付で今回の国防部の表明に対し、 「国際社会の普遍的な人権基準により近くなり」、また「2005年12月に代服務制度導入を導入するよう勧告した趣旨を十分に反映したもの」であると歓迎 の意を表しています。「良心による兵役拒否権の実現と代替服務制度の改善のための連帯会議」などの市民団体は、今回の措置を歓迎していますが、「連帯会議」の共同執行委員長は、国連の勧告では、代替服務の期間は現役兵の1.5倍を超えれば懲罰であり、2倍の期間 設定を再検討するように述べています。
国防部は、世論調査、公聴会などのプロセスを経て国民の支持を得たうえで、法案を具体的に確定していきたいとしており、2008年末までに兵役法など関連 法を段階的に改正し、2009年からの施行を予定しています。しかし代替服務の対象となる兵役拒否者の認定基準を含め検討すべき課題が多く、市民の間でも 賛否両論の議論が起こっており、実現までには困難が伴うとみられています。
出所:
・韓 国国防部(省)プレスリリース(2007年9月18日付) (韓国語)
・韓国国家人権委員会HPプレスリリース(2007年9月18日付) (韓国語)
・ハンギョレ新聞(2007年9月18日付) (韓国語)
参考:「良心による兵役拒否権の実現と代替服 務制度の改善のための連帯会議」 (韓国語)
(2007年09月04日 掲載)