クメール・ルージュ(ポル・ポト)政権時代(1975-79年)の大虐殺に関与した元幹部を裁くカンボジア特別法廷(ECCC)の捜査当局 は2007年11月12日、政権ナンバー3の地位にあったイエン・サリ元副首相(83)とその妻のイエン・チリト元社会問題相(75)をプノンペンの自宅 で身柄を拘束し、同法廷施設に移送しました。また11月14日には、旧ポル・ポト派の元拠点である北西部パイリンで脳卒中のため倒れたキュー・サムファン元国家幹部会議 長を拘束しました。
イエン・サリ氏は1976 年にポト派政権の副首相兼外相に就任し、政権の顔として活動しました。1996年にゲリラ戦を続けるポル・ポト派を離脱し、ヘン・サムリン政権に投降して 国王の恩赦を受け、その後はポル・ポト政権で社会問題相を務めた妻とプノンペンに住んでいました。イエン・サリ氏は、拘束の直前、共 同通信に対し「私は外交を担当していただけで、人を殺せとの命令などは一切していない」と語った とされています。
なお、カ ンボジア特別法廷への訴追対象予定者は5名と伝えられていますが、氏名は公表されていません。これまでに2007年8月にドッチ(トゥールスレーン収容所 元所長)、2007年9月にヌオン・チア(元人民代表議会議長)の2名が拘束されているため、残る1人はキュー・サムファン(元国家幹部会議長)氏とみら れ、近く身柄拘束され、2008年3月までに順次、訴追されるといわれています。
出所:
・ポル・ポト政権副首相の身柄拘束 AFP通信(2007年11月12日)
・イエン・サリ元副首相拘束 ポル・ポト派特別法廷 共同通信(2007年11月12日)
・「カンボジア特別法廷で裁かれる旧ポル・ポト政権幹部の顔ぶれ AFP通信(2007年09月19日)
参考:カンボジア特別法廷、ポト派元 ナンバー2のヌオン・チア氏を拘束し取り調べへ ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ (2007年9月)
(2007年11月02日 掲載)