2月12日、安全保障理事会は子どもと武力紛争について審議を行いました。審議では、1月29日に公表された「子どもと武力紛争に関する事務総長報告」がとりあげられました。
国連事務総長報告では、スーダン、チャド、ルワンダなどで武装勢力が国境を越え、難民キャンプなどで子どもを徴集しているのが見られること、武力紛争に おいて子どもに対する性的暴力がスーダンのダルフールで戦術としてとられているほか、コンゴやブルンジなどで起こっていること、子どもが武装勢力に関係し ているとして拘束されることが、ブルンジ、コンゴ、コロンビア、イラク、イスラエル、フィリピンなどで起こっていること、アフガニスタンやタイなどで、武 装勢力の学校や教員、生徒への攻撃が増えていることなどが懸念事項としてあげられています。一方、国際刑事裁判所において、コンゴのルバンガ容疑者が子ど もの兵士徴集の罪などで起訴されるなど、子どもに対する犯罪の責任追求の重要な先例が確立されつつあることもあげられています。そのほかに、子どもを武力 紛争に徴集するなど利用している国や武装勢力などのリストが添付されています。アジア地域では、アフガニスタン、ミャンマー、ネパール、フィリピンやスリ ランカの武装勢力がリストにあげられています。
報告はまた、リストにあげられた国に子どもの徴集、殺害、虐待などを停止するための行動計画を立てること、安全保障理事会に子どもに対して重大な侵害を 行う国や集団に対して武器禁輸、軍事援助、指導者の入国拒否などを含むより厳格な対抗措置を検討すること、国連の平和維持活動などに子どもの保護に関する アドバイザーを加えることなどを提言しています。
安全保障理事会は、審議後、クマラスワミ子どもと武力紛争に関する特別代表やユニセフなどの活動に敬意を表し、モニタリングと報告を継続すること、平和 維持活動などに子どもの保護アドバイザーを加えることについて検討を続けることなどを含む議長声明を採択しました。(2008年2月14日)
出所:
・国連プレスリリース(2008年2月21日付け)(SC/9246)(英語)
http://www.un.org/News/Press/docs//2008/sc9246.doc.htm
・『子どもと武力紛争に関する事務総長報告』(S/2007/257)(英語)
http://www.un.org/Docs/journal/asp/ws.asp?m=s/2007/757
参考:
「『子どもと武力紛争に関する特別代表』にクマラスワミ氏」
ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ(06年2月)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section2/2006/02/post-98.html
「国連安全保障理事会が武力紛争における子どもの保護のための一層の努力を呼びかける」
ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ(06年7月)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section2/2006/07/post-134.html
「子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表、ミャンマー訪問」
ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ(07年6月)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section2/2007/06/post-198.html
(2008年02月07日 掲載)