市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)のもとに設置された、自由権規約委員会は第94会期を13日から31日まで開催し、15 日と16日の2日間にわたり、日本の第5回政府報告を審議しました。
規約は第40条で締約国に対して、規約の権利実現のためにとった措置や権利の享受に関する進歩に関する報告を提出することを義務づけています。 報告は規約28条に設置が定められている委員会によって審議されますが、審議には政府代表団が出席し、委員からの質問に対して回答するという「建設的対 話」の形で審議がすすめられます。
今回の審議では、政府代表から報告の紹介が行われ、委員会のタスクフォースが08年3-4月の第92会期時に作成した、政府に対する質問事項のリストに ついての回答も行われました。リストには、日本の裁判所で規約が引用された例や、規約の権利の制限の根拠として援用される「公共の福祉」についてなど、日 本における規約の適用に関する一般的な質問や、女性に対する再婚禁止期間、民間企業における女性の管理職登用促進、DVなど女性に対する差別や暴力の問 題、死刑や、代用監獄、拘置所や刑務所などを調査する外部機関、警察での取調べなどの拘禁者の処遇や公正な裁判に関する問題などがあげられていました。
さらに、委員からは、10年前の審議を経て出された勧告について何も効果が見られないと指摘されたほか、性的指向に基づく差別、「従軍慰安婦」 の問題、難民認定、パートタイム労働者の処遇などについて質問が出されました。
委員会は最終日の31日までに、日本に対する懸念事項や勧告を含む総括所見を採択する予定です。(2008年10月22日)
出所
・Human Rights Committee considers report of Japan(国連プレスリリース10月16日)(英語)
・規約人権委員会第94会期 (英語)
参考:
・「自由権規約の第5回日本政府報告が発表さ れる」ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ(2007年1月)
(2008年10月05日 掲載)