1月14日、国連は、世界の先住民族の状況に関する報告を公表しました。報告は、先住民族問題に関するフォーラムの事務局がとりまとめ、常設フォーラム の元メンバーを含む専門家による貧困と福利、文化、環境、教育、健康、人権、新しい課題の7章で構成されています。
報告によると、世界には約3.7億人の先住民族が住み、世界の人口の約5%を占め、世界各地で、差別や排除、貧困に直面しています。漁業や狩 猟、小規模の農業などの伝統的な生計手段が商業化、民営化、環境の変化や紛争などによって圧迫されています。また、世界に6,000から7,000あると 言われる言語の多数を話し、まわりの生態系に関する伝統的知識の蓄積を有しています。しかし、多くの言語が消滅するおそれがあるなど、先住民族の文化は差 別される一方、その知識や文化が商品化され、被害につながることもあるとしています。先住民族の土地の権利を認める国は少なく、環境の変化や開発により移 住を余儀なくされることも多いこともあげられています。また気候変動によって、先住民族には環境だけでなく、社会経済的な影響もあることがあげられていま す。さらに、先住民族人びとの平均寿命が、その他の人びとのよりも短いことや、健康に関する課題、教育に関する課題、暴力や制度的な人種主義、紛争や移 住、都市化などの課題があげられ、先住民族の課題に対応する具体的な政策が必要であることや、それら人びとが自分たちに関わる問題に関する意思決定手続に 参加することが重要であることが述べられています。(1月20日)
出所:
State of the World’s Indigenous Peoples
UN paints grim picture of conditions of world’s indigenous peoples 1月14日付 UN News
(2010年01月02日 掲載)