法務省の発表によると、2009年に同省入国管理局が人身取引の被害者として保護の手続きをとった外国人は20人(前年28人)で、全員が女性でした。 出身国の内訳は、フィリピン10人(同6人)、タイ8人(同18人)、中国1人(同0人)、中国(香港)1人(同0人)。20人のうち、超過滞在など入国 管理法違反となっていた11人全員に対して帰国を前提とした一時的な滞在が可能な「在留特別許可」が付与されました。また,人身取引の加害者と認定された 外国人6人(全員女性)を退去強制しました。
法務省は、2008年と比べて被害者が減少した理由について、2004年に策定された「人身取引対策行動計画」に基づき、政府全体で人身取引対 策に取り組んできたことや、厳格な入国審査の実施など人身取引の防止のための対策が一定の効果を上げていることによるものと考えられる、としています。
一方、近年の傾向として、加害者が被害者の旅券を強制的に保管したり、被害者を監禁状態に置くなどの従来用いられた「管理支配」という手段では なく,さらに巧妙な方法で被害者の脱出や通報の防止を図ったり、精神的な抑圧を行うなどして被害者に被害性を自覚させないような管理を行ったりするように なったこと、さらに被害者を偽装結婚させるなどして就労可能な在留資格で入国させるなど、その手口が悪質化・巧妙化しており,人身取引の被害が表面化しに くくなっているとも考えられる、と分析しています。
そのような事態を受けて、入国管理局は、2009年12月に策定された「人身取引対策行動計画2009」に基づき、今後さらに対策を強化し、実 態の解明に努めることとしています。
出所:法務省報道発表資料「平成21年に保護又は帰国支援 した人身取引の被害者数等について」
参照:「人身取引対策行動計画 2009」策定される(ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ)
(2010年02月02日 掲載)