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400人のタイ人農業労働者を人身売買したとして6人を起訴-米国
米国司法省は10年9月2日、約400人ものタイ人農業労働者を強制労働などに従事させたとして、人材派遣会社の経営者など6人を起訴したことを明らかにしました。400人は、04年5月から05年9月にかけて短期滞在の農業労働者としてタイから米国に移送され、脅迫を受けながら労働やサービスを提供させられたとされています。
裁判は11月に始まる予定ですが、容疑者が有罪判決を受けた場合、首謀者は65年から70年の禁固刑となります。
起訴状によると、容疑者たちはよい条件の仕事があると虚偽の約束をしてタイ人を米国に連れてきて、脅迫や経済的な脅しを続けることによって、ワシントンやハワイの農場での作業を強いていました。
容疑者はタイ人労働者から高額の斡旋料を受け取っており、その代金は労働者の家族の財産や家屋を担保に借金したものでした。容疑者は、多額の借金を返済しなければならないという立場を知りつつ、労働者たちが米国の農場で働き続けなければ、タイに送還すると脅して労働者をつなぎとめていました。
9月9日付の「ロサンゼルス・タイムス」によると、42歳の労働者はタイでリクルートされたとき、ワシントンでリンゴ、ハワイでパイナップルの収穫の仕事だと言われ、週40時間の労働で、タイの農村で米作によってかろうじて得られる月収100ドルより10倍の高収入を受け取ることができると約束されたといいます。
また、04年7月にシアトルに到着した男性は、18,000ドルもの斡旋手数料を請求されたうえ、約束の賃金の半分以下しか受け取ることができませんでした。彼は斡旋人によってパスポートを取り上げられたうえで、木製の小屋に住まわされ、農場外の人と話すことを禁じられて、もし逃げようとするならば暴力行使や送還すると脅かされていたといいます。彼は05年9月に暗闇のパイナップル畑のなかを逃げたと語っています。
今回明らかになった事件は、近年の米国で発覚した労働搾取を目的とした最大規模の人身売買事件だと言われています。
出所:
・SIX PEOPLE CHARGED IN HUMAN TRAFFICKING CONSPIRACY
FOR EXPLOITING 400 THAI FARM WORKERS (米国司法省)
・Thai workers describe being lured into slavery in U.S. (ロサンゼルス・タイムス)