3月28日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、先進国44カ国における庇護申請者の2010年の統計を公表しました。UNHCRは、庇護申請の件数は全体で09年から5%減の358,800件であり、10年前の01年のほぼ42%と、この10年で半分以上の減少となったと報告しています。
統計によると、欧州38カ国全体では、09年よりも6%の減少でしたが、特にアルバニア、キプロス、ギリシャ、イタリア、マルタ、スペインとトルコの欧州南部8カ国では、33%と大きく減っています。05年では、欧州38カ国で世界の庇護申請者の60%を受理していましたが、09年には45%となり、UNHCRは、欧州の庇護申請者の目的地としての重要性が低下しているとしています。
庇護申請者の数が最も多かったのは、5年連続で米国であり、そのうち3分の1は中国からの申請者でした。フランス、ドイツ、スウェーデンが続き、これらの4カ国では、庇護申請の件数は09年に比べて増加しています。一方、5番目に多いカナダでは、前年に比べ30%減少しています。この5カ国で庇護申請者全体の半分以上、56%を占めます。
日本と韓国は、両国で1,600件と、09年より5%減、日本へはミャンマーからの庇護申請者、韓国へはパキスタンからの庇護申請者が主を占めたと報告されています。
庇護申請者全体の出身国から見ると、最も多いのがセルビア、ついで09年最も多かったアフガニスタン、中国、イラクと続いています。
日本に関しては、2月25日、法務省が2010年の難民認定者数などについて公表しています。それによると、難民申請者は前年より186人減の1,202人で、認定されたのは、39人、不認定でも人道的な配慮により特に在留を認められた(在留特別許可)人が363人いました。これらの人たち全体で、最も多いのがミャンマー出身の人で、89%を占めています。(3月30日)
出所:
「Asylum-seeker numbers nearly halved in last decade, says UNHCR」 3月28日付UNHCRプレスリリース http://www.unhcr.org/4d8cc18a530.html
「平成22年における難民認定者数等について」2月25日法務省入国管理局 報道発表資料 http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri03_00077.html
参考:
「09年の庇護申請者の数は変わらず、国連難民高等弁務官事務所」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2010年3月)https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2010/03/09.html
(2011年03月31日 掲載)