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国際刑事裁判所が初めての判決

 3月14日、国際刑事裁判所(ICC)の裁判部第一法廷は、コンゴ愛国者解放戦線(FPLC)の指導者であったトマ・ルバンガ被告に対し、15才未満の子どもを兵士として徴募し、敵対行為に参加させるという戦争犯罪で有罪の判決を下しました。
 コンゴ民主共和国では、97年ザイール共和国がコンゴ民主共和国となる以前から紛争が続いていますが、この裁判所に関するローマ規程が発効する2002年以降もFPLCを含む複数の反政府勢力などとの紛争により多数の人が命を失い、子どもが強制的に戦闘に参加させられる状況が続いています。被告は、2002年から2003年にかけて、同国のイツリ地方で、軍隊をつくるという計画をたて、その実行において15才未満の子どもも含む子どもを誘拐や強迫を使った徴募などで集め、軍事訓練を受けさせ、戦闘に参加させたと訴えられていました。
 同被告に対しては、女性や少女に対するレイプや性的虐待などの訴えもありましたが、最終的にはこれらの犯罪に対する起訴は行われませんでした。
 ジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪、侵略の罪について裁く常設の国際裁判所であるICCは2002年、ローマ規程の発効を受けて設立され、これまでこの件を含め、15件が裁判所に付託されており、これが初めての判決となります。この事件は、ルバンガ被告が06年に逮捕され、ICCのあるハーグに移送された後、07年に公判開始が決定されましたが、その後、検察が証拠の一部を開示しなかったことなどから公判が2回停止されています。またICCは証拠や証人を集める警察を持たないため、証人を特定し、ICCの検察との連絡をとる仲介人を使いますが、その仲介人が証人に対して偽証教唆を行ったということで弁護側から、公判の無期停止が主張されていました。また、この審理には15才未満のときに兵士として徴募され、戦闘に参加させられた元子どもやその親、親戚など129名が被害者として参加しましたが、そのほとんどが被告に身元が知られないよう、保護措置がとられました。
 被害者への補償、刑の宣告については、後日行われます。(3月15日)

参照:
ICC-01/04-01/06Case  The Prosecutor v. Thomas Lubanga Dyilo, Judgment pursuant to Article 74 of the Statute http://www.icc-cpi.int/menus/icc/situations%20and%20cases/situations/situation%20icc%200104/related%20cases/icc%200104%200106/court%20records/chambers/trial%20chamber%20i/2842?lan=en-GB

参考:
「国際刑事裁判所が公判の開始を決定」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2007年2月)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section2/2007/02/post-170.html
 
「国際刑事裁判所が初めて容疑者を起訴」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2006年9月)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section1/2006/09/post-21.html

(2012年03月15日 掲載)