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「沖縄県に居住する人は人種差別撤廃条約の対象外」-日本政府が国連人種差別撤廃委員会に回答(7月31日)
国連人種差別撤廃委員会(CERD)は、2012年3月に沖縄の辺野古/大浦湾における米軍基地建設と、高江におけるヘリパッド建設に関する計画の現状報告およびその周辺地域で生活しているエスニック・コミュニティ(琉球/沖縄人)などの権利を保護するための施策に関して質問書簡を日本政府に送っていましたが、日本政府は期限日の7月31日付で同委員会に回答を送りました。
回答は、人種差別撤廃条約の対象となる「人種差別」とは、「社会通念上、生物学的諸特徴を共有するとされている人々の集団、及び社会通念上、文化的諸特徴を共有するとされている人々の集団並びにこれらの集団に属する個人につき、これらの諸特徴を有していることに基づく差別を対象とするものであると解される」としたうえで、「沖縄県に居住する人あるいは沖縄県の出身者がこれら諸特徴を有している、との見解が我が国国内において広く存在するとは認識しておらず、よってこれらの人々は本条約にいう人種差別の対象とはならないものと考えている」と結論づけています。その見解については、従来から日本政府が繰り返し述べてきていると、としています。
また、日本政府は、「普天間飛行場の辺野古移設計画は同飛行場の危険性の除去、沖縄の負担軽減及び我が国の安全保障上の要請によるもの、また、高江地区ヘリパッド建設計画は土地の大規模な返還による沖縄の負担軽減及び我が国の安全保障上の要請によるものであり、両計画とも差別的な意図に基づくものでは全くないことを強調する」としています。そのうえで、①辺野古移設計画、②高江地区ヘリパッド建設計画、③沖縄振興計画の概要に関する資料を添付しています。
今回の質問書簡は、「琉球弧の先住民族会」(AIPR)、「沖縄・生物多様性市民ネットワーク」(OkinawaBD)、「反差別国際運動」(IMADR)の3団体が2012年2月に、日本政府による沖縄県における米軍基地建設計画という琉球/沖縄人に対する差別的な政策を見直し、修正、撤回することをめざして、国連人種差別撤廃委員会に対して情報提供したことを受けて、同委員会で審議され日本政府に送られたものです。
人種差別撤廃条約第9条、及び人種差別撤廃委員会手続規則第65条に基づく2012年3月9日付け人種差別撤廃委員会からの情報提供要請に対する回答
(2012年7月31日)日本語仮訳
人種差別撤廃条約第9条、及び人種差別撤廃委員会手続規則第65条に基づく2012年3月9日付け人種差別撤廃委員会からの情報提供要請に対する回答
(2012年7月31日)英語正文
人種差別撤廃条約第9条、及び人種差別撤廃委員会手続規則第65条に基づく人種差別撤廃委員会からの情報提供要請(2012年3月9日)英文
人種差別撤廃委員会が沖縄の米軍基地の辺野古移設などに関して日本政府に質問書簡(3月9日)