9月11日、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)の13条2項 (b)及び (c)に付している留保の撤回が閣議において決定され、その撤回が条約批准の寄託先の国連事務局長に通知されました。
日本は、1979年、社会権規約を批准しましたが、批准の際に、7条の労働条件について、「公の休日についての報酬」を確保することに拘束されない、8条 (d)の同盟罷業(ストライキ)の権利について、批准時に日本の法律によって権利が認められている部門以外について拘束されない、13条2項の (b)および (c)の中等教育、高等教育について、「特に、無償教育の漸進的な導入により」という規定に拘束されない、という留保を付していました。
01年8月に行われた社会権規約委員会は日本の第2回報告審議を経て採択された総括所見で、日本の留保の撤回を勧告していました。09年12月の第3回政府報告では、13条の留保は付しているものの、「教育を受ける機会の確保を図るため、経済的な理由により修学が困難な学生等に対しては、(独)日本学生支援機構、地方公共団体及び公益 法人等が奨学金事業を行っているとともに、授業料減免措置が講じられているところである」と述べています。その後、10年1月、当時の鳩山首相は施政方針演説で、高校の実質無償化を開始し、「国際人権規約における高等教育の段階的な無償化条項についても、その留保撤回を具体的な目標とし、教育の格差をなくすための検討を進め」ることを表明していました。(9月13日)
参照:
社会権規約(外務省)http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2b_001.html
International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights – Declarations and Reservations - Japan Endnote 23 (United Nations Treaty Collection) http://treaties.un.org/pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=IV-3&chapter=4
(2012年09月14日 掲載)