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日本政府、人種差別撤廃条約の実施について国連に報告書提出(13年1月)
日本政府は、人種差別撤廃条約の実施状況に関する「第7回・8回・9回政府報告」を13年1月に国連人種差別撤廃委員会に提出しました。内容は本文(日本語訳版はA4で34ページ)と、外国籍者に関する11種の統計資料で構成されています。
前回は2008年8月に「第3回・4回・5回・6回政府報告」を提出し、10年2月に人種差別撤廃委員会で審査が行われ、3月に数々の改善勧告を盛り込んだ「最終見解」が採択されています。その最終パラグラフでは「この最終見解の中で取り上げられたすべての点に取り組むことを勧告する」と述べています。
ところが、勧告を反映していない報告内容が随所にみられます。たとえば、前回の報告書で明記された、部落問題に対処する権限を持つ特定の政府機関あるいは委員会を指定することなど部落問題をめぐる勧告の数々(19パラグラフ)や、「現在国会にて提案されている公立及び私立の高校、専修学校(technical colleges )並びに高校に相当する課程を置く多様な機関の授業料を無償とする法制度変更において、北朝鮮の学校を除外することを示唆する複数の政治家の姿勢」(22パラグラフ)に関する懸念などについては、今回は言及すらされていません。
また、「委員会は、沖縄の独自性について当然に払うべき認識に関する締約国(日本)の態度に遺憾の意を表明するとともに、沖縄の人びとが被っている根強い差別に懸念を表明する」(21パラグラフ)と述べていましたが、今回の日本政府報告には含まれていません。一方、同じく13年1月、「日本政府は、2012年8月31日付けの(人種差別撤廃委員会からの)要請に対し、同年7月の情報提供以降の情報を以下のとおり提出する。日本政府としては、沖縄に居住する人又は沖縄県出身者が本条約にいう人種差別の対象とはならないものと考えており、本件情報については、第7回・第8回・第9回政府報告の対象とはならないと認識している」という見解を同委員会に送付しています。
現時点では、この日本政府報告が国連でいつ審査されるのか未定です。
出典:外務省のウェブサイト
人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)
参考:
人種差別撤廃委員会が日本政府に米軍基地建設に関する詳細情報を求める書簡(ヒューライツ大阪)