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文科省、朝鮮学校の「高校無償化」の適用除外へ省令改定(2月20日)
文部科学省は2月20日、朝鮮学校を「高校無償化」の対象から除外する省令を公布・施行しました。これまでに申請を行っていた朝鮮学校10校に対し、無償化の対象に指定しないことを通知しました。
同省は2012年12月28日、下村文科相が除外の方針を発表したあと、1月26日までパブリックコメント(「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則」の一部を改正する省令案)を募集しました。結果は、30,510件の意見が寄せられ、賛成する内容のものが15,846件、反対する内容のものが14,164件、その他500件だったと下村博文・文科相が2月19日の記者会見で語っています。
下村文科相は「朝鮮学校が日本の学校教育法に基づいた学校に変えれば無償化の対象になる」とコメントしました。
朝鮮学校をめぐり、大阪地裁では朝鮮学校を運営する学校法人大阪朝鮮学園と国、大阪府、大阪市とのあいだで2013年2月現在、3件の裁判が進行しています。そのうち2つは大阪朝鮮学園が原告で、1つが被告となっています。
大阪朝鮮学園は2012年9月20日、朝鮮学校(小・中・高校)に2011年度の補助金を交付しないとした大阪府と大阪市に対して、処分取り消しと、交付の決定を求める訴えを大阪地裁に起こしました。大阪府と大阪市が「特定の政治的指導者の肖像画を教室から(大阪市は職員室からも)撤去する」「特定の政治団体(朝鮮総連)と一線を画す」などの要件を根拠として、長年交付してきた補助金を停止したのは政治的理由のみに基づく裁量権の逸脱であり、民族的マイノリティの教育の権利を侵害しているという考えからです。
同学園は2013年1月24日、大阪朝鮮高級学校を高校無償化制度の対象としないのは違法だとして、国を相手に無償化申請に対する不作為の違法確認と無償化の義務付けを求める訴訟を大阪地裁に起こしました。
一方、大阪市は2012年12月26日、中大阪朝鮮初級学校の敷地として、市とのあいだに無償使用契約のもとで長年使用されてきた市有地の明け渡しを求める訴訟を大阪朝鮮学園に対して起こしました。大阪市が要求しているのは、土地の明け渡しと、2012年4月1日から明け渡し済みまでの間、1カ月あたり1,244,000円を支払えというものです。
そのような朝鮮学校をめぐる問題を受けて、「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」と「民族教育を支える研究者、大学教員のネットワーク・関西」は2月17日に大阪市内で朝鮮学校「高校無償化」・補助金問題を考える研究集会を開催しました。朝鮮学校をめぐる国や自治体の政策は国際人権規約や人種差別撤廃条約をはじめとする国際人権基準に違反しているといった報告が行われました。
<省令改定の内容>
法律施行規則(平成22年文部科学省令第13号)第1条第1項第2号において定められるもの
各種学校であって、我が国に居住する外国人を専ら対象とするもののうち、次に掲げるもの
(イ)大使館を通じて日本の高等学校の課程に相当する課程であることが確認できるもの(民族系外国人学校)
(ロ)国際的に実績のある学校評価団体の認証を受けていることが確認できるもの(インターナショナル・スクール)
(ハ)イ、ロのほか、文部科学大臣が定めるところにより、高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして、文部科学大臣が指定したもの
↓
2013年2月20日の改定で(ハ)を削除
<参考>
下村博文文部科学大臣記者会見映像版
公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果について
<「高校無償化」と「補助金問題」を考える研究集会>で採択された「決議文」
「高校無償化」から朝鮮学校が除外されていることに対して、大阪と愛知で国を提訴(13年1月24日)ヒューライツ大阪
大阪朝鮮学園が補助金停止に対して大阪府と大阪市を提訴(9月20日) ヒューライツ大阪