女性差別撤廃委員会の第56会期が9月30日から10月18日まで開催され、モルドバ、コロンビア、ベナン、アンドラ、カンボジア、タジキスタンとセイシェルの報告を審議されたほか、紛争予防、紛争時および紛争後の状況における女性に関する一般的勧告30を採択しました。
勧告では、内戦、政治や民族間の紛争、緊急事態や市民蜂起の強制的な鎮圧などを含む紛争前、紛争中およびその後も常に女性の実質的平等が推し進められ、紛争の解決、平和構築や復興において多様な女性の経験が取入れられていなければならないとして、特に条約の権利を侵害する私人の行為について締約国がとるべき相当の注意の義務についても触れています。
たとえば、条約の下の義務が締約国の領域内だけではなく、占領、あるいはその他の統治など、実効的管理下にある人にも及ぶと述べた一般的勧告28を再確認し、自国の実効的管理下にある私人の行為を規制することを求められているとして、それらが条約を尊重することを確保すること、私人や団体の行為に対する救済を確保することや紛争後、ジェンダーに基づく暴力を防止するため、非政府団体などと協力することを勧告するほか、非政府団体や私人に対して紛争中および紛争後も女性の権利を尊重するよう促しています。
つづいて、紛争予防、紛争中および紛争後についてそれぞれ女性への影響やそれに対する勧告などをあげています。紛争予防については、女性の紛争予防の取組みを支援すること、予防外交に関わる国内や国際組織への女性の平等な参加を確保すること、小型武器を含む武器の国際取引のジェンダーの観点からの影響にも対応することなどを勧告しています。紛争中および紛争後については、ジェンダーに基づく暴力の危険が紛争中およびその後に高まること、紛争の戦略として性的暴力がつかわれること、また国内で避難している女性、難民の女性が特に暴力の対象となる危険が大きいことがあげられ、締約国に対応を求めています。一方、紛争直後は、女性の政治的参加に関する差別を撤廃し、紛争後の新しい体制において女性が平等の機会を享有するよう立法や政策をとる戦略的機会となり得るとして、意思決定のレベルへの平等な参加を確保すること、女性のリーダーシップのトレーニングの提供などを勧告しています。そのほか、教育や雇用などの権利の享有について、武装解除や復員後の社会復帰などにおける女性の参加やジェンダーに対応した女性や女の子に対する支援に関する勧告などがあげられています。
このテーマについては、国連の安全保障理事会が2000年に決議1325を採択し、加盟国に国内、国際レベルの意思決定レベルへの女性の参加を拡大すること、平和協定の交渉、締結にあたって、男女平等に配慮することなどを求めていましたが、10月18日には、その実施や実施を監視するために国連の平和維持局や紛争地域を調査する委員会などに、定期報告に紛争の女性への影響や1325決議の実施に関する情報を含めることや、紛争後の平和構築などの国連の活動に関わりジェンダーの平等や女性のエンパワメントを課題として取入れること、戦争犯罪、ジェノサイド、人道に対する罪の責任者を捜査し訴追することや2015年に実施のレビュ―会議を開催することなどをあげた決議(2122)を採択しています。(10月25日)
女性差別撤廃委員会一般的勧告(OHCHR)http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/CEDAW/Pages/Recommendations.aspx
安全保障理事会決議 (2013)http://www.un.org/en/sc/documents/resolutions/2013.shtml
(2013年10月28日 掲載)