国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は3月21日、先進国44カ国への庇護申請者の数が2013年は2001年以降最も多く、前年から28%増加があったという報告を公表しました。全体で612,700件のうちの484,600件はヨーロッパ諸国において行われたもので、ヨーロッパ全体では前年比32%増、トルコ、イタリアなどの南ヨーロッパ諸国は49%の増加でした。最も庇護申請が多かったのはドイツ、米国、フランス、スウェーデン、トルコで、5カ国で全体の58%の申請が行われています。トルコは前年に比べると69%の増加でその半分以上はイラクからの申請者でした。
庇護申請者の出身国で最も多いのがシリアで、ロシア、アフガニスタン、イラク、セルビアと続きます。シリアからの庇護申請者は56,400人と前年よりも倍増になり、特に紛争が激化した2013年後半に増えています。シリアは申請者の出身国として2010年には20番目だったのが、2011年の内戦状態以降増加し、とうとう最も多い国となってしまいました。しかし、シリア国外に逃れて中東諸国で難民となっている人の数はもっと多く、250万人を越えたとされています。
庇護申請者は、他国において難民認定など国際的保護の申請を行っている人で、まだ難民の地位を得ていない人です。難民申請の数で5番目に入ったトルコはシリアからの難民が多く、ヨーロッパで最も難民が多い国です。
UNHCRの報告では、日本に対する庇護申請は3,300件と前年よりも27%増、韓国は38%増の1,600件と、両国にとってはこれまでで最多でした。(3月25日)
出所:
UNHCR report shows leap in asylum applications for industrialized countries 3月21日 UNHCR News http://www.unhcr.org/532afe986.html
Asylum Trends 2013 http://www.unhcr.org/5329b15a9.html
参考:
「日本における2013年の難民認定者数と人身取引の被害者数」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2014年3月)https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2014/03/2013-1.html
「庇護申請者の数は2012年も増加を続ける、国連難民高等弁務官事務所」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2013年3月)https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2013/03/2012-1.html
(2014年03月28日 掲載)