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強制送還中に死亡したガーナ人-東京地裁が国に賠償命じる(3月19日)

ガーナ人男性のアブバカル・アウドゥ・スラジュさん(当時45歳)が、「不法残留」を理由に2010年3月に成田空港から強制送還される際に急死したのは、東京入国管理局職員の違法な制圧行為が原因だとして、日本人の妻らが国に約1億6,000万円の損害賠償を求めていた裁判の判決が3月19日に東京地裁でありました。東京地裁の小林久起裁判長は、「男性はほぼ無抵抗であったにもかかわらず入国管理局職員による違法な制圧行為で窒息死した」と認定し、国に約500万円の支払いを命じました。
この判決では、スラジュさんが送還を強く忌避する発言を繰り返していたことなどを指摘し、「違法な制圧行為を誘発したと」として、5割の「過失相殺」を適用するとともに、日本ではなくガーナで得られたはずの収入を基に遺失利益を算定すべきとの考えにより500万円と認定されました。
スラジュさんは1998年に短期滞在の在留資格で来日し、超過滞在して工場などで働いていました。翌年に日本人の妻と同居を開始したものの、入管法違反の疑いで入管施設に収容されました。妻と婚姻手続きを行い、在留特別許可を求める裁判を起こしたにもかかわらず、「子がおらず、妻は独立して仕事をしており、必ずしも夫を必要としない」という理由で敗訴し、退去強制が決まっていました。
妻たち遺族は2010年10月、入国警備官10人を「特別公務員暴行陵虐致死」の容疑で刑事告訴しましたが、千葉地検は2012年7月に「容疑なし」と全員を不起訴にしていました。入管も同年11月に「男性の死因は窒息死ではなく心臓の腫瘍による不整脈が原因」「体を押さえつけるなどの制圧行為や、拘束にタオルを使ったことは適法だった」という内部調査の結果を発表していました。
判決を受けて、法務省入管局は「判決内容を十分検討した上、今後の対応を考える」としています。
これに対して、スラジュさんの妻や裁判を支援しているNGOのASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETY(APFS)、研究者たちは入管局に対して控訴しないことを求める共同声明や要望書を即日発表しました。
<参考>
http://apfs.jp/
APFS スラジュさん活動レポート

(2014年03月20日 掲載)