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大阪市生野区の市民団体が大阪市に18,921筆の署名とともに「ヘイト・スピーチ規制条例」(案)を提出(1月29日)
弁護士や研究者、在日コリアンを中心に構成する大阪の市民団体(事務局:NPO法人多民族共生人権教育センター)が1月29日、ヘイト・スピーチ対策を検討している大阪市に、独自に作成した「ヘイト・スピーチの規制に関する条例」(案)を提出しました。
「条例」(案)は、ヘイト・スピーチを、人種差別撤廃条約の趣旨に即し、人種、皮膚の色、世系、民族、国籍、社会的身分を理由に集団あるいは個人に対して、侮辱、中傷、差別、暴力を扇動すること、差別的取扱いを行い若しくは助長する意思を表示することと定義しています。
「条例」(案)は、公然とヘイト・スピーチをしてはならない、と禁止を明文化しています。また、条例の目的を達するために、相談に応じたり、被害者などからの申し立てを受けて実態調査や勧告などを行う公正な独立した機関「ヘイト・スピーチ侵害防止委員会」を設置するとしています。この委員会は、警察や行政に道路や市の管理施設の使用を許可しないように、またヘイト・スピーチに該当するインターネット上の書き込みなどについて、プロバイダーに対して内容の消去などを進言することができるとしています。さらに、被害者が法的救済を求める場合の訴訟援助や禁止条項の違反者に対する罰則規定(2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)を設けることなども求めています。
条例案の作成と並行して、「大阪市ヘイトスピーチ規制条例」(仮称)制定を求める生野区1万人署名が進められてきましたが、18,921筆の署名が提出されました。さらに、多民族共生人権教育センターが2014年8月から行ってきた生野区在住・在勤の在日コリアン100名を対象とした「生野区におけるヘイトスピーチ被害の実態調査」(最終報告)も提出されました。
一方、大阪市では、人権施策推進審議会のヘイト・スピーチ(憎悪表現)対策を議論する検討部会が1月16日、被害を受けた人が加害者側を相手取り訴訟を起こす場合の費用支援策などの対策案の報告案をまとめています。2月の審議会で最終的にとりまとめ、橋下徹市長に答申する計画です。
今回の「条例」(案)については、2014年12月26日に行われた第5回検討部会でその骨子が提出されていましたが、全文を受け取った大阪市市民局によると、「人権施策推進審議会に報告し、参考にできるものはないか内容を検討したい」と述べています。
<参考>
ヘイト・スピーチの規制に関する条例(いっしょにつくろう!大阪市ヘイトスピーチ規制条例)
生野区における 「ヘイトスピーチ被害の実態調査」最終報告(多民族共生人権教育センター)
「ヘイトスピーチに対する大阪市としてとるべき方策について」の大阪市としてとるべき方策検討部会報告(案)平成27 年1 月 大阪市人権施策推進審議会
市民団体が大阪市にヘイト・スピーチ規制条例・骨子(案)を提出(12月25日)ヒューライツ大阪