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大阪市人権施策推進審議会がヘイトスピーチ対策を市長に答申‐訴訟支援、施設利用制限も視野に(2月25日)
「大阪市人権尊重の社会づくり条例」に基づき設置されている大阪市人権施策推進審議会は2月25日、ヘイトスピーチへの対応策を橋下市長に答申しました。答申を受けて、大阪市は2015年度中に関連条例を制定し対策を実施する方針です。答申の概要は以下の通りです。
・市が問題事例を認定するために法律専門家や弁護士で構成する審査機関(市長の付属機関)を設置する。被害の申立てを受け審査機関が調査し、その報告を受けて市が対応を決める。ヘイトスピーチだと認定すれば、行った団体に対して改善勧告するとともに、事案の概要や市の認識をホームページに公表する。
・大阪市在住の被害者が訴訟を起こした場合、判決の中でヘイトスピーチに言及があれば、結果にかかわらず市が訴訟費用を負担する(市が支援した費用の返還を求めない)。
・インターネット上でヘイトスピーチが掲載されている場合のサイト管理者への削除要求について、被害を受けた市民が行うよりも市が協力するほうがより効果的だという観点から事案の内容に即した柔軟な支援策を実施する。
・審議会の検討部会が1月16日にまとめた答申(案)では「ヘイトスピーチを理由として公の施設の利用を制限することは困難」であると市の施設の利用制限を見送っていたが、答申では「現行条例(各施設の管理条例)の利用制限事由に該当することが明らかに予見される場合は利用を制限することもあり得る」と追記。
今回の答申は、橋下市長が2014年9月3日に大阪市人権施策推進審議会に対し、大阪市としてとるべき方策について諮問したことを受けたものです。以来、5人の有識者からなる「『憎悪表現(ヘイトスピーチ)』に対する大阪市としてとるべき方策検討部会」が設置され10月から議論が開始されました。検討部会が6回の会合を経て、1月に答申(案)としてまとめ、審議会で答申として固めたといういきさつです。その過程で、在日コリアンをはじめとするNGOや弁護士など市民グループが、大阪市‐検討部会に対して、規制・救済を盛り込む条例案を提出するなどの積極的な提言を行いました。
今回の訴訟支援を含む系統的な対策内容は全国の自治体で初めての取り組みです。
<出展>
ヘイトスピーチに対する大阪市としてとるべき方策について(答申)
平成27(2015)年2月 大阪市人権施策推進審議会
(報道発表資料)大阪市人権施策推進審議会からヘイトスピーチに対する大阪市としてとるべき方策について答申を受けました(平成27年2月25日 13時30分発表)
<参考>
大阪市生野区の市民団体が大阪市に18,921筆の署名とともに「ヘイト・スピーチ規制条例」(案)を提出(1月29日) ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ
前田朗 Blog 「大阪市ヘイト・スピーチ審議会答申を読む」(1)~ (6)