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大阪市、ヘイトスピーチ対策のための条例案要綱(案)の意見募集(3月13日~4月12日)
「大阪市人権尊重の社会づくり条例」に基づき設置されている大阪市人権施策推進審議会が2月25日に「ヘイトスピーチに対する大阪市としてとるべき方策について」を橋下徹・大阪市長に答申しました。それを受けて、大阪市はとるべき方策に関して条例化に向けた検討を進め、3月12日までに「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案要綱(案)」を取りまとめ、市のウェブサイトに設けた特設ページに公表しました。
大阪市はこの案について3月13日(金)から4月12日(日)まで市民(市外の人からも受付)に意見募集を行っています。意見は、書式に記入のうえ郵送、ファックス、あるいは大阪市電子申請・オンラインアンケートシステムにより提出できます(下記のサイトに詳細)。
要綱(案)は、ヘイトスピーチ対策を定めることにより、市民等(市内在住・在勤・通学者、市民の属する団体)の人権を擁護するとともに、ヘイトスピーチの抑止を図ることを条例の目的であるとしています。要綱(案)は、ヘイトスピーチを、特定の人種・民族の個人または集団に対して、社会からの排除、権利・自由の制限、あるいは憎悪や差別意識、暴力を扇動することを目的に、侮辱や誹謗中傷、脅威を感じさせる表現を公然とする行為などと定義しています。
ヘイトスピーチに該当する行為(表現活動)が、市内で行われた、もしくは市外で行われても表現の内容が市内在住・在勤・在学といった市民等に関するものと明らかに認められる活動などに対して、市長は、拡散防止の措置および認識等についてインターネットなどを通じて公表する、としています。
大阪市在住者、あるいは市内に主たる事務所を置く被害者(個人と団体)が民事上の責任を求めて訴訟を起こした場合、市が訴訟費用貸付けなどの支援をする。判決内容に応じて、市が負担した費用の全部または一部を免除することができる、としています。
市長は、措置対象の認定に関して市長の付属機関として設置される「大阪市ヘイトスピーチ審査会」の意見を聴かなければならないとしています。この審査会は、市長が委嘱する5人以内の学識経験者などで組織されます。
答申で明記されていたいくつかの対策が要綱(案)には具体的に言及されていない措置もあります。たとえば、インターネット上に掲載されたヘイトスピーチに対するサイト管理者への削除要求は、市民が単独で行うよりも市が協力するほうがより効果的だという観点を踏まえて、事案の内容に即した柔軟な支援策を実施するということです。また、憲法が保障する表現の自由の側面などから、ヘイトスピーチを理由とする公の施設の利用制限は困難としつつ、施設の管理条例の利用制限事由に該当することが明らかに予見される場合は利用を制限することもあり得るという点についてです。要綱(案)では、「拡散防止の措置」「訴訟等の支援以外の支援」といった枠組のみにとどまっています。
大阪市は、2014年9月3日に大阪市人権施策推進審議会に、「憎悪表現(ヘイトスピーチ)」に対する大阪市としてとるべき方策について諮問しました。それを受けて、大阪市人権施策推進審議会は、検討部会を立ち上げ、審議会を2回、検討部会を6回開催し答申をとりまとめました。
大阪市は、今回の意見募集を経て条例案を作成し、2015年度内に市議会に提出することをめざしているとしています。
<出典>
特設ページ~大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案要綱(案)についてご意見をお寄せください~(3月12日 大阪市)=意見募集のページ
大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案要綱(案)
大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案要綱(案)
ヘイトスピーチに対する大阪市としてとるべき方策について(答申)
平成27(2015)年2月 大阪市人権施策推進審議会
<参考>
大阪市人権施策推進審議会がヘイトスピーチ対策を市長に答申‐訴訟支援、施設利用制限も視野に(2月25日、ヒューライツ大阪)