11月19日、世界経済フォーラムのグローバル・ジェンダー・ギャップ指数の2015年報告が公表されました。この報告は、ジュネーブにある民間団体、世界経済フォーラム(WEF)が2006年以降、毎年各国の政治参加、経済参加、健康、教育の分野におけるジェンダーの格差を指数に表して公表しているものです。
2015年の報告では、145カ国を対象とし、日本は101位でした。前年は142カ国中104位でした。今回の報告では、健康分野は42位、経済分野は106位、政治参加は104位で、教育の個別分野では識字率や中等教育への進学率で1位でしたが、高等教育への進学率が106位と低く、同分野全体では84位です。前年より順位を3つ上げたものの、依然として先進国の中で最低水準であることに変わりがないことを示しています。
上位は2015年もアイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンと北欧の国が占め、上位10カ国のうち、ルワンダ(6位)、フィリピン(7位)、ニュージーランド(10位)を除く7カ国がヨーロッパの国でした。アジア地域でフィリピンの次に続くのは、ラオス(52 位)、シンガポール(54 位)、モンゴル(56 位)です。
報告によると、教育、健康、政治参加、経済の分野における世界の男女格差は、過去10 年間で4%しか縮まっていません。教育格差は、2006 年から22%も広がりました。大学生は 97ヵ国において男性よりも女性が多いものの、雇用面では、専門・技術職で女性の方が多い国は68ヵ国、指導的なポストで女性の方が多い国は4ヵ国にすぎません。一方、健康と生存率のギャップは、40ヵ国において解消されましたが、2006 年と比較すると全体的にはわずかながら逆に広がっています。また、政治参加における格差は、2006 年との比較で14%から9%に改善されたにもかかわらず、ジェンダー・ギャップが解消されているのは、世界中で23%にとどまっています。
また、経済面では、賃金および労働条件の平等に向けたプロセスが2009年から失速し、縮小率はわずか3%にとどまっています。2006 年以降、女性の労働力は約2.5 億人増加したにもかかわらず、女性の賃金は 10 年前の男性の水準と同じになっており、報告書は、このままのペースで推移すると、世界における経済面でのギャップが完全に解消されるのは 118 年後の2133 年になりそうだと指摘しています。
出所:
Global Gender Gap Report 2015
http://reports.weforum.org/global-gender-gap-report-2015/
参考:
ジェンダー・ギャップ指数、日本は105位から104位(2014年10月)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2014/10/10510
4.html
(2015年11月30日 掲載)