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ヘイトスピーチ解消法が国会で成立しました

2016年5月24日、衆議院本会議で、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」(いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」)が可決され、この法案は成立しました。

   日本はこれまで国連人種差別撤廃委員会、自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会などから差別と憎悪を煽動するヘイトスピーチを刑事規制するよう勧告を受けてきました。さらに、そうしたヘイトスピーチの発生を温存する人種主義と人種差別を禁止・撤廃するための法律が不在していることに対する懸念の表明と、早急に法整備をするよう促す勧告を受けてきました。

   そうした中での今回の法成立は、長年放置されてきた問題に対して初めて法律による規制ができたという点において、市民社会組織、そして何よりもヘイトスピーチの被害にあってきたコミュニティの人びとが歓迎の意を表明しています。

   その一方で、法律には禁止条項が含まれていないこと、ヘイトスピーチの定義が不十分で、対象集団の範囲が限定されており、適法に居住していない外国籍住民を排除していること、地方自治体による法律施行に関しては努力義務になっていることなど、問題点がいくつも指摘されています。とりわけ、日本が加入している人種差別撤廃条約の理念や目的の実現という点からみたとき、この法律がまずその流れを作ることが期待されます。今後どのように運用されていくのかは大きな課題であり、監視役としての市民社会の役割もさらに重要となってきます。

 また、5月26日、参議院法務委員会は法律成立を受けて「ヘイトスピーチの解消に関する決議」(参議院法務委員会決議.pdf)を全会一致で採択しました。そこには、「あらゆる人間の尊厳が踏みにじられることを決して許すことはできない」、そして、「この法律は国連の自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会などからの要請を踏まえたものである」ということが宣言されています。

   法律の成立をうけて、即日、関係NGOが声明を発表しています。以下、紹介します。

外国人人権法連絡会 https://gjinkenh.wordpress.com/2016/05/24/16/
移住者と連帯する全国ネットワーク 
http://migrants.jp/archives/news/heito-seimei
コリアNGOセンター 
http://www.korea-ngo.org/kyosei/kyosei01.html#160524_1

  参考:ヘイトスピーチ解消法(略称)が参院委で採決されました
 https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2016/05/post-133.html


 

(2016年05月25日 掲載)