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第33回国連人権理事会(9月13-30日)で30の決議採択
第33回国連人権理事会が2016年9月13日から30日に開催されました。同会期ではブルンジに関する調査委員会や発展の権利に関する特別報告者の設置を含む30の決議とひとつの議長声明が採択されました。以下、主な決議を紹介します。
同伴者のいない子ども及び青少年の移民と人権
人権理事会は同伴者のいない子ども及び青少年の移民の福祉と最善の利益を促進する重要な方針として、出身国、通過国、目的地国に対して、必要に応じて家族が再統合できるための支援をするよう要請しました。
地方自治体と人権
2017年9月(予定)に開催される第36回人権理事会と同じ日に、人権の促進と保護における地方自治体の役割に関するパネル・ディスカッションの開催を決定しました。地方自治体が人権を効果的に促進、保護、実現するための方法を明確にすることが目的です。
人権問題としての5歳未満児の予防可能な死亡率と疾病率
人権理事会は5歳未満児の予防可能な死亡率と疾病率を削減及び撲滅するため、加盟国に権利ベースのアプローチをとるよう要請しました。また、加盟国とその他の関係ステークホルダーに対して、5歳未満児の予防可能な死亡率と疾病率の相互に関連した根本原因への取り組みを引き続き行い、強化するよう求めました。
文化的権利と文化遺産の保護
人権理事会は文化遺産にアクセスし、享有することが出来ることを含む、文化的な生活に参加する権利を尊重し、促進し、保護するよう加盟国に要請しました。また、すべての武力紛争当事者に、文化財へのあらゆる不法な軍事攻撃を控えるよう促し、文化遺産の保護に携わる文化的権利擁護者の安全が保護されるよう求めました。
テロ対策における人権及び基本的自由の保護
人権理事会はテロや暴力的な過激主義に対してとられるあらゆる措置が国際法に適合するよう確保し、テロと暴力的な過激主義がいかなる地域、国籍、文明や民族とも関連付けるべきでないことを再確認しました。
発展の権利
発展の権利に関する特別報告者が任命されることが決定されました。期間は3年です。主な任務は発展の権利に関するワーキンググループの活動への貢献、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の実施における発展の権利の促進、保障、実現への貢献です。
国内人権機関
人権理事会は国内人権機関のメンバーやスタッフ、協力団体・個人への報復や脅迫に関するあらゆる事例についての徹底的な調査を迅速に行い、加害者を裁判にかけて処罰するよう求めました。そして国内人権機関に引き続き、普遍的定期審査(UPR)を含む国連人権理事会の活動に参加し、貢献するよう促しました。
シリア
人権理事会はシリア・アラブ共和国の人権状況についての決議を、賛成26、反対7、棄権14で採択しました。シリア当局の軍隊により実行されている東アレッポでの軍事攻勢を強く非難し、直ちに市民への無差別爆撃を停止するよう要請しました。また、すべての当事者が至急ジュネーブ・コミュニケの包括的な実施を目指して努力するよう求めました。
ブルンジ
ブルンジでの人権状況に関する決議が賛成19、反対7、棄権21で採択されました。人権侵害の加害者であると言われる人物を明らかにするために、2015年4月以来のブルンジにおける人権侵害について全面的な調査を実施するための調査委員会を1年間設置することが決定されました。
ブルンジでは恣意的な逮捕・拘禁、拷問や他の残酷な、非人間的な、品位を傷つける扱い、裁判なしの殺害、強制失踪、性的暴行、および市民やジャーナリスト、抵抗運動やデモ参加者への迫害、表現・集会・結社の自由の制限などの事実が報告されています。
コンゴ民主共和国
コンゴ民主共和国への技術援助及び人権のキャパシティ・ビルディングに関する決議が採択されました。人権理事会は同国政府に、国内での暴力を引き起こしてきた政治問題の平和的解決に向けての努力を強め、直ちに対策を施すよう促しました。また、国連人権高等弁務官事務所に選挙における同国での人権状況の報告準備を要請しました。
その他
その他の決議として、ジャーナリストの安全、人権と紛争後などにおける移行期の正義、先住民の権利に関する決議などが採択されました。加えて、恣意的拘禁に関するワーキンググループをはじめ複数の分野でワーキンググループや特別報告者の任期を延長する決議が出されました。
また、閉会の辞において崔京林議長は、会合に参加していた人権擁護者に脅迫文が届いたり、市民社会組織がジュネーブへの渡航を禁じられたりした事実に関し、市民社会の人権理事会への参加は重要であり、協力団体・個人への脅迫・報復行為はいかなるものも決して受け入れられないと強調しました。
次回の第34回人権理事会は2017年2月27日から3月24日に開催される予定です。
(構成:谷口勇士・ヒューライツ大阪インターン)
出典: 国連人権理事会ニュース(英語)