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国連人権理事会諮問委員会、人権の地域的取り決めなどについて決議(2017年2月)
国連人権理事会諮問委員会(以下、諮問委員会)は2017年2月20日から24日まで第18会期の会合を行い、人権の保護促進のための地域的取り決め、ハンセン病患者およびその家族に対する差別の撤廃、保護者のいない移住者の子どもと青少年に関する決議などを採択しました。
諮問委員会は、人権理事会の要請を受け、人権の保護促進に関わる問題について研究や調査を行い、助言する18名の個人資格の専門家による機関です。
地域的取り決めのためのアプローチ
人権のための地域的取り決めに関しては、人権理事会が2016年の第32会期において、人権の保護促進のための世界各地の地域的およびサブ地域的取り決めに向けた取り組みの進捗状況、その成果、国連人権高等弁務官事務所の役割などについて、2018年の第39会期までに報告するよう諮問委員会に対して求める決議を採択していましたが、今会期(18会期)に提出されたのは、その予備報告案です。
予備報告案は、欧州、米州、アフリカ、アラブ地域の人権機関の人権の保護促進における成果や課題を分析しています。また、政府間人権委員会を設置しアセアン人権宣言を採択した東南アジア諸国連合(アセアン)をサブ地域における取り決めに向けた動きとして報告しています。
これらの成果として、判決や決議による基準の策定、加盟国からの定期報告や調査による情報収集、モニタリングなどをあげています。一方、財政を含む資源の不足、政治的意思の欠如などの課題があることを指摘しています。
さらに、地域的取り決めのないアジア地域について、地理的、文化的多様性、政治体制の違いのため、取り決めに必要なコミットメントや協力を確保することが困難であるとしています。また、影響力のある一部の国々が主導して地域的取り決めをつくるという動きが他の地域ではみられたものの、アジアの主要国にそのような関心があるようにみえないと述べています。
予備報告案はアジアにおいて人権の地域的取り決めをつくるアプローチとして、(1)高いコミットメントと協力関係をもつサブ地域取り決めを、同じような考えをもつ政府、自治体などとつくり次第に拡大していく、(2) アジア全体を網羅する取り決めをつくり、最低限の保障しか合意できないかもしれないが、最大限の人数を対象とし、いずれ加盟国がより大きなコミットメントをもてるよう支援する、(3) 同じような考えをもつ国々によるサブ地域取り決めや子どもの貧困、高齢者の権利など共通の課題のための取り組みが多元的に重複するネットワークをつくる、といった可能性をあげています。
委員会は同報告案に留意し、案を作成した起草部会に対し、各国政府、国際および地域機関、国内人権機関、NGOなどの意見を再度求め、次の会期に経過報告を提出するよう決議しました。
ハンセン病患者・家族に対する差別撤廃に関する決議
ハンセン病患者およびその家族に対する差別の撤廃について、国連人権理事会諮問委員会は、人権理事会の2015年の第29会期で採択された決議に基づき、2010年に同委員会がつくった「ハンセン病患者・回復者及びその家族に対する差別を撤廃するための原則及びガイドライン」の実施に関する最終報告を採択し、報告者による確定を経て人権理事会に提出することを決議しています。
(抄訳・構成 岡田仁子)
Human Rights Council Advisory Committee concludes eighteenth session (2017年2月24日付け国連ニュース)