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福井で移住者と連帯する全国フォーラム開催される-難民認定制度や技能実習制度などの課題を議論(6月17-18日)
日本で暮らす移住者が直面する課題の解決に向けて考える「移住者と連帯する全国フォーラムin福井」が6月17日と18日に福井市内で開催されました。支援団体のメンバーや弁護士、研究者、移住者当事者など約300人が参加し、情報や意見交換を行いました。
17日は、日本弁護士連合会入管法プロジェクトチームの駒井知会弁護士が「日本における難民認定制度と日本社会の未来」というテーマで基調講演しました。迫害など危険な状況から日本に逃れてきた人たちに、難民であることの具体的証拠を求める厳格すぎる審査の問題点、2016年の難民認定率が1%に満たない現状などを指摘し、人権や人道の視点から日本における難民受け入れの課題について訴えました。
その後、参加者は女性・貧困、労働・技能実習、難民・収容、ヘイトスピーチなど7つの分科会に分かれて議論を深めました。
18日は、外国人技能実習制度をめぐる問題に関して、神戸大学教員でベトナムの労働法を専門とする斉藤善久さんが「ベトナムから見る技能実習制度の闇」というタイトルで基調講演を行い、技能実習生の権利保護に取り組む指宿昭一弁護士が韓国における雇用許可制と対比しながら日本の技能実習制度の「構造的欠陥」について講演しました。
斉藤さんは、業界団体などが仲介して受け入れを行う団体監理型による技能実習制度の問題点の数々を指摘し、制度の抜本的な見直しの必要性を強調しました。以下は斉藤さんの講演概要です。
実習生たちは、ベトナムの送り出し機関のもとで日本語をはじめとする研修を受けることによりまず借金を抱え込む。その借金には高い利息がついている。来日後に就労する職種は、技術移転とはほど遠い非熟練労働である。制度上は月給制の給料とされているにもかかわらず、時給計算で支払われるケースが多く、残業手当が支給されないことがある。実習期間中、決められた雇用主のもとで働かねばならず職業選択の自由はない。会社から提供される宿舎に住まなければならず、転居の自由もない。
日本は、送り出し機関による「保証金」の徴収を禁止しているにもかかわらず、ベトナムでは日本に送り出す場合は3,000ドルまで適法とされているという矛盾が続いている。
そのような事態が、「国際貢献」という建前で日本の制度としてまかりとおっている。新たに制定された技能実習適正化法で果たして改善されるのだろうか。