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国連人権理事会、人権と気候変動に関する決議案を採択

 国連人権理事会は、 2017年6月6日から23日まで開催されていた第35会期内の 6月22日に、「人権と気候変動」に関する決議案を全会一致で採択しました。

気候変動による人権への負の影響
 決議の冒頭では、「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標13(気候変動とその影響への緊急対策)を含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の採択を歓迎し、気候変動に関する国際連合枠組条約やパリ協定を始めとする気候変動への対策とその重要性を再確認した上で、気候変動は、地球温暖化が進行するにつれて、生命への権利、十分な食糧を得る権利、健康への権利、居住の権利、安全な水と衛生に対する権利など、人権の十分な享受に対して様々な負の影響を及ぼすことを強調しています。そして、地理的条件、貧困、ジェンダー、年齢、先住民またはその他のマイノリティであること、国や社会的出自、障がいなどの要因により、すでに脆弱な状況にある人びとの一部に対して、気候変動の負の影響は最も深刻であると懸念を示しています。

 決議では、そうした人びとのうち、「気候変動の負の影響を受けやすい、脆弱な立場におかれたグループに属する子ども」と「異常気象への対応によって困難に直面する可能性のある移住者及び外国人」という、二つのグループの問題に焦点を当てています。

気候変動の負の影響を受けやすい脆弱な立場におかれたグループに属する子ども
 移住者の子ども、気候変動の影響で移動を余儀なくされた子ども、障がいを持つ子ども、貧困層の子ども、家族と離れた子ども、先住民の子どもなどは代表的な例であり、人権の義務と責任が国際人権法に盛り込まれていることを踏まえて、そうした義務と責任を有する国や企業などは、気候変動の影響に対処する際、子どもたちの権利と最善の利益の促進、擁護、そして尊重をするべきであるとしています。

異常気象への対応によって困難に直面する可能性のある移住者及び外国人
 移住者及び外国人のそもそもの脆弱性は異常気象への対応によってとくに高まり、適切な情報や支援を得ることが難しくなること、結果としてそのような困難が人権の完全な享受を妨げてしまうことを指摘しています。そして、突然の自然災害とゆっくりと忍び寄る災害の頻度と厳しさが増している現状に言及し、各国に向けて、気候変動枠組条約の中で人権の側面についても考慮し、気候変動の適応と緩和の政策に対して統合的なアプローチを取ることと、気候変動の脅威が切迫している状況にある国及びその住民のために、より一層の国際協力の強化と継続を求めています。さらに、国連人権高等弁務官事務所及び関連するその他の国連組織に対して、気候変動に起因する移住者や国境を越えざるをえない人びとの人権擁護の課題について詳細な調査を要請しています。

(構成:末永貴実)

<参照>
Human rights and climate change(A/HRC/RES/35/20)

(2017年08月19日 掲載)