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ILO、現代奴隷の推計数を公表-世界で約4,000万人(9月)
ILO(国際労働機関)とウオーク・フリー・ファンデーションは2017年9月19日、国際移住機関(IOM)と協力してまとめた2016年現在の世界中の現代奴隷の推計規模に関する報告書を公表しました。
この報告書における「現代奴隷制」(modern slavery)とは、強制労働(forced labour)、借金による束縛(debt bondage)、強制結婚(forced marriage)、その他の奴隷的慣行、人身取引(human trafficking)をさしています。
報告書によると、現代奴隷の被害者は世界全体で合計約4,000万人で、約2,500万人が強制労働、1,500万人が強制結婚の被害を受けているとしています。地域別の人口比ではアフリカが最も多く、アジア太平洋と続いています。
4,000万人のうち、女性と少女が71%にあたる約2,900万人で、性産業における強制労働に限ると99%を占めています。
報告書では、強制労働による労働搾取として民間企業・民間人によるものと、政府機関によるものをあげています。民間における強制労働の内訳は、家事労働が最多の24%で、建設業18%、製造業15%、農漁業11%の順です。政府機関によるものは、国や自治体の事業のための農業、建設、徴兵による軍事活動以外の仕事、受刑者の意志に反する労働などです。
強制結婚の被害者の88%が女性です。そのうち18歳未満が37%で、その約半数が15歳未満で結婚させられています。
報告書の結論として、現代奴隷制を生み出す原因は経済、社会、文化、法律などの分野で多岐にわたるため、解決のための万能薬は存在せず、多面的な対応が必要だとしています。
この報告書は、国連が2015年から推進している「持続可能な開発目標」(SDG)の以下の目標8の7の実施を目的にまとめられたものです。
目標 8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025 年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
<報告書>
“Global estimates of modern slavery: forced labour and forced marriage” (英語)