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法務省、在留資格「家族滞在」の高卒生徒の就労可能要件を拡大(2018年2月)
法務省は2017年2月、外国人の保護者に同伴し在留資格「家族滞在」で滞在する生徒のうち、小学校2年生までに来日した場合に限り、高校卒業後に「定住者」への在留資格に変更し、日本での就労を認めるとの判断を示していましたが、2018年2月末に対象の拡大を決めました。その結果、就職が内定している場合、小学校4年生までに来日すれば、「定住者」への変更が可能となるとともに、中学3年生までに来日した生徒は、高校卒業後は「特定活動」に変更し就労することができるようになりました。
法務省の方針変更を受けて、文部科学省に周知の依頼が行われ、3月中旬までに都道府県教育委員会、各高等学校への通知が行われたもようです。
今回の対象拡大によって、高校卒業後に就職を希望する「家族滞在」の生徒の進路保障が前進しました。外国ルーツの子どもの教育支援に取り組むNGOの要請が推進力になったとみられます。今回の変更について学校現場に周知されることが求められます。
一方、以下のような課題も残っています。
・就職後も引き続き保護者と同居することが前提となっていることから、転勤や結婚などで独立する際の在留資格はどうなるのか。
・高校卒業時点で内定が決まっていない生徒の在留資格の問題。
・高校を卒業していない家族滞在の生徒の在留資格。
・「特定活動」からより安定した在留資格である「定住者」への変更が許可されるのかどうか。
・日本の「義務教育」を終えないで、外国の中学校を卒業して日本の高校に入学・編入した生徒はこれまでと同様に対象外。
また、大学、短大、専門学校に進学する場合、日本学生支援機構は「家族滞在」のすべての生徒を、奨学金申請資格から除外したままであるという課題も続いています。
<参考>
「家族滞在」の在留資格をもって在留し,本邦で義務教育を修了した上,高等学校卒業後に本邦での就労を希望する方へ(法務省)