外務省(総合外交政策局人権人道課)は2018年8月31日に「ビジネスと人権に関するベースラインスタディ意見交換会」の第10回(最終)会合を開催し、ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)の策定の「第一段階として、企業活動における人権保護に関する我が国の法制度や取組についての現状を確認するため」(外務省ウェブサイト)実施されてきた「意見交換会」の日程が終了しました。
同年3月に始まった「意見交換会」は「公共調達」「法の下の平等(障害者、LGBT、女性)」「労働(児童、外国人労働者(外国人技能実習生を含む))」「救済へのアクセス」「国際約束における人権の扱い」「サプライチェーン」「中小企業」というテーマで、3月から8月まで10回にわたり開催されてきました。その「議事概要」は外務省ウェブサイトで公開されています。
2018年9月18日、「意見交換会」にステークホルダーとして参加してきた日本弁護士連合会、日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォームが共催で、「ビジネスと人権に関する国別行動計画の策定に向けて ベースラインスタディ報告会」を開催し、このほど、その開催記録が公開されました。
ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)について、政府は2016年11月と2017年11月に、ジュネーブで開催された「国連ビジネスと人権フォーラム」の場で、「今後数年以内に」策定する旨を表明し、また2016年12月には「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」に併せて策定された「持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための具体的施策(付表)」において、国別行動計画(NAP)の策定を施策課題に掲げてきました。「意見交換会」はこの施策課題を実行するプロセスの一つでした。
なお、国連ビジネスと人権に関するワーキンググループはNAP策定の指針となるガイダンス文書の最終版を2016年11月に公表しており、その内容に沿った策定プロセスが求められています。そこでは、「NAPは国連ビジネスと人権に関する指導原則に基づいていなければならない」、「参画可能性と透明性のあるプロセス(inclusive and transparent processes)で策定され、実施されなければならない」等の「不可欠の基準」が示されています。
国別行動計画の策定プロセスは次の段階へ移っていくことになりますが、今後のプロセスが、ビジネスと人権に関する指導原則に基づいたものになるのか、また「参画可能性と透明性」は確保されるのか、その推移が注目されます。
<参照>
<参考>
(2018年10月24日 掲載)