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マニラの教会前に設置予定の「慰安婦像」が行方不明に(8月)
2018年4月にフィリピンのマニラ湾沿いの遊歩道から撤去された慰安婦像が、マニラ首都圏パラニャーケ市にあるバクララン教会の敷地内に2019年8月18日に再設置される計画が進められていましたが、その直前、像を保管していた製作者から「像が何者かに持ち去られた」との連絡が入り再設置できなくなりました。
フィリピン人の元慰安婦女性を支援するネットワーク「フラワーズ・フォー・ロラズ(おばあさんたちに花を)」は8月25日、再設置するために作られた台座前の広場で集会を開き、像の再設置が実現しなかったことに遺憾の意を表明するとともに、日本政府に謝罪を求める闘いを続けていくとアピールしました。
慰安婦像は、マニラの華僑系市民団体の要請で、フィリピン政府機関の国家歴史委員会が2017年12月にマニラ湾沿いの遊歩道(公有地)に設置されました。像は、民族衣装を着て、目隠しをされたフィリピン人の「慰安婦」をイメージしたもので、高さはおよそ3メートルありました。
日本政府は直後から「わが国の立場と相容れない」と抗議していました。フィリピンを訪問した野田聖子総務相は2018年1月9日、マニラでドゥテルテ大統領と会談し、従軍慰安婦問題を象徴する女性像が設置されたことについて「こうした像が唐突にできるのは残念だ」と伝えました。
2018年4月27日、公共事業道路省によって「下水道改良事業のため」として撤去されました。
撤去を受けて、「フラワーズ・フォー・ロラズ」はバクララン教会に働きかけ、同教会が再設置に同意していたものです。慰安婦像が不明になった真相は現時点では判明していません。
かつてマニラ湾沿いに建てられた慰安婦像(Flowers4Lolasより)
New 'comfort woman' memorial unveiled in Manila
(Mainichi Japan、August 25, 2019)
野田総務大臣のフィリピン共和国ドゥテルテ大統領への表敬後ぶら下がり記者会見の概要(総務省2018年1月9日)
<参照>
フィリピン政府、マニラの「慰安婦」像を撤去-女性団体が抗議(ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ、2018年5月)