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大阪府、ヘイトスピーチ解消推進条例など人権3条例施行

 大阪府が9月議会(定例会)に提出していた3つの人権関連条例が10月25日に大阪府議会で可決されました。成立したのは「改正人権尊重の社会づくり条例」、「性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」、「人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」です。
 
人権尊重の社会づくり条例
「人権尊重の社会づくり条例」は1998年に施行されていましたが、今回の改正で、第2条の「府の責務」に加えて、「府民の責務」(第3条)、および「事業者の責務」(第4条)を追加し、府民と事業者に対して、人権尊重の社会づくりの推進について理解を深めること、および府が実施する人権施策の推進への協力を求めています。また、事業者に対しては、事業活動を行うに当たり、人権尊重のための取組を推進するよう求めています。
 
性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例(性の多様性理解増進条例)
「性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」は、前文で「性の多様性に関する無理解により、個人の社会参加の機会が制限されるようなことはあってはならず、また性的指向や性自認を理由とした差別は決して許されない」と明記し、第1条で、理解増進の施策を実施することを通して性的指向及び性自認が尊重される社会の実現に資するという目的を定めています。「理解の増進に関する施策」(第7条)として、教育・啓発、相談対応などの施策の実施、および府が実施する事務事業において、多様性の配慮に努めるとしています。
 
人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例(ヘイトスピーチ解消推進条例)
「人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」(ヘイトスピーチ解消推進条例)は、2016年の「ヘイトスピーチ解消法」施行後、街頭のヘイトスピーチは減少傾向にあるものの、依然として特定の外国人の排斥を訴える差別的言動が行われていること、とりわけインターネットを利用した悪質事象が増加しているという背景を踏まえて制定されたものです。
条例は、「不当な差別的言動」(ヘイトスピーチ)の禁止を宣言し、許されない言動であるという認識を根付かせ、全ての人が人種または民族の違いを尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的としています。
「差別的言動」の対象を、ヘイトスピーチ解消法では本邦外出身者と限定していますが、条例では「人種もしくは民族に係る特定の個人または集団に対する言動」(第2条)としています。
そして、第7条で、「何人も、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動をしてはならない」と禁止を明記しています。
一方、罰則に関しては、大阪府人権施策推進審議会の答申に基づき、設けられていません。同審議会は、罪刑法定主義の考え方から、何が刑罰の対象になるかを厳格かつ明確にすることが基本であるものの、ヘイトスピーチの様々な態様を踏まえると罰則を科すことは適当と考えられないとの見解を出しています。
大阪府は、ヘイトスピーチ解消推進条例の制定を契機に、府内市町村との緊密に連携しながら啓発・教育・相談体制の充実に努めるとしています。また、インターネット上の差別に関して、市町村や個人・団体などからの相談を受け、差別事象にあたると判断した場合、拡散を防止できるよう大阪法務局に削除要請を行うとともに、効果的な対応策を検討するとしています。
 
<出典>
http://www.pref.osaka.lg.jp/jinken/jourei/
大阪府人権尊重の社会づくり条例(1998年施行、一部改正  2019年10月30日施行)
http://www.pref.osaka.lg.jp/jinken/sogijorei/index.html
大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例(2019年10月30日施行)
http://www.pref.osaka.lg.jp/jinkenyogo/hatejyourei/index.html

大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例2019111日施行)

(2019年11月07日 掲載)