日本経済団体連合会(経団連)と日本弁護士連合会(日弁連)は2019年11月11日と21日に、それぞれビジネスと人権に関する国別行動計画(以下、NAP)に関する意見書を公表しました。
日本のNAPについては、2016年11月に日本政府が策定を表明して以降、2018年に「ベースラインスタディ意見交換会」が10回にわたり開催されるなど策定プロセスが進められ、2019年度からは外務省を中心に「諮問委員会」と「作業部会」という枠組みで議論がなされてきました。経団連と日弁連は、ILO駐日事務所、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、中小企業家同友会全国協議会、日本労働組合総連合会、ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォームとともに、策定プロセスに参画してきました。
経団連の意見書は、国連ビジネスと人権に関する指導原則とNAPについて概観し、経団連「企業行動憲章」を中心とする取り組みについて述べたあと、NAPに対する意見を展開しています。そこでは、「策定プロセス・推進体制」に関する意見を述べたあと、「NAPに盛り込むべき優先課題」について、指導原則の「第一の柱:政府組織による人権保護義務、人権尊重の推進」「第二の柱:企業による人権の尊重の推進」「第三の柱:救済へのアクセス」及び「横断的課題(個別の人権課題)」ごとに意見を述べています。さらに今後の経団連としての取り組みについても言及しています。
日弁連の意見書は、「政策上の一貫性の確保の必要性」「国内外双方を通じた施策の必要性」「策定・更新のプロセスの明確化の必要性」「国の人権保護義務の具体化の必要性」「指導原則を実施するための具体的な行動計画の提示の必要性」の5項目にわたる事項を盛り込むべきであることを、その理由とともに総括的に述べたあと、「行動計画の内容として盛り込むことが適当と考える施策の例」として14の分野にわたって施策例を列挙しています。
なお、ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォームからも、2018年11月に「ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)策定への市民社会からの提言」が出されています。
<参照>
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(2019年12月05日 掲載)