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川崎市の多文化交流施設に脅迫はがき(1月4日・29日)
川崎市は1月29日、市内の多文化交流施設「ふれあい館」の爆破および在日コリアンに危害を加えると予告する脅迫はがきが特定の市職員あてに届いたと発表しました。同館には1月4日にも在日コリアンの虐殺を宣言する年賀状が送りつけられました。
福田紀彦市長は、「差別に基づく脅迫であり、決して許されるものではない」と非難を表明し、「市として施設の安全確保に万全を期す」と述べています。同市は29日から警備員を同館に配置するとともに、すでに警察に相談しており、威力業務妨害容疑などでの被害届の提出を検討しています。
「ふれあい館」は、日本人市民と在日コリアンをはじめ外国人市民が交流し、差別のない共生のまちづくりを担う施設として1988年に市が開設したもので、社会福祉法人青丘社が指定管理者として運営しています。
川崎市では、2019年12月16日に、ヘイトスピーチを禁止するために刑事罰を盛り込んだ「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」施行したばかりです。
外国人人権法連絡会、緊急対策を求め声明
そうした事態を受けて、外国人人権法連絡会は1月29日、政府に緊急対策を求める声明を発表するとともに、インターネットなどで緊急署名を行っています。同連絡会は、多民族・多文化共生社会の実現に向けて、「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定、および「国内人権機関」の実現をめざす市民団体です。
声明では、脅迫はがきは、具体的な犯罪予告であり、在日コリアンを恐怖や絶望の淵に叩き落し、地域の分断、差別と暴力を煽動する極めて卑劣なヘイトスピーチ・ヘイトクライムであり、絶対に許してはなりません、と訴えています。
そして、政府に対して、「相次ぐ犯罪予告宣言を強く非難する声明を出すこと」「捜査と犯罪の防止策をとること」「ヘイトスピーチ・ヘイトクライム根絶に向けた具体的な方針の制定、および警察官・検察官などへの研修実施」「ヘイトスピーチ解消法の実効化とともに、総合的な人種差別撤廃政策推進のための基本法を制定する」ことなどを求めています。
ヘイトスピーチ・ヘイトクライムに関して、国連人種差別撤廃委員会は2018年8月、ヘイトスピーチ解消法が2016年に施行された後も在日コリアンなどに対してヘイトスピーチと暴力の扇動が続いている事態に懸念を表明し、同法で対象とされていないヘイトクライムを含む人種差別の禁止に関する包括的な法律を採択することなど10項目にわたる日本政府への勧告を採択しています。
<出典>
「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が制定されました(2019年12月16日)
在日コリアンに対する相次ぐ卑劣な犯罪予告を許さず、政府に緊急対策を求める声明(2020年1月29日)