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IOMとアジアの移住者の権利擁護に取り組むマイグラント・フォーラム・イン・エイシャ、国際的サプライチェーンにおける移住労働者の権利促進を目的にパートナーを組む(5/19)
国際移住機関(IOM)とアジア地域の移住労働者の権利擁護に取り組むNGOネットワーク「マイグラント・フォーラム・イン・エイシャ」(MFA)が、サプライチェーンにおける移住労働者の権利擁護のために提携するという共同のプレスリリースが5月19日に出ました。以下、翻訳です。
(ホーチミン市)-「COVID-19パンデミック」(新型コロナウイルスの世界的大流行)によって、世界中で移住労働者の脆弱性が高まるなか、国際移住機関(IOM)はNGOのマイグラント・フォーラム・イン・エイシャ(MFA)と協力して、アジア・太平洋地域の移住労働者の声を受けとめるとともに、サプライチェーンにおける労働搾取の問題への取り組みを開始した。
移住は、「持続可能な開発目標」(SDGs)のなかで、開発の重要な推進力として認識されている一方、移住労働者の人権と労働権は、募集・採用と雇用に関わる業者によって尊重されないケースが頻繁に起きている。
COVID-19のなか、多くの移住労働者が社会的な距離を置き、医療を受けることが困難な状況下で生活・労働していることから、移住労働者の脆弱性が著しく拡大している。多くの国がロックダウン措置を導入しているなか、多数の移住労働者は仕事と収入を失い、足止めされ、帰国もできない、もしくは雇用継続できない状態に置かれている。そのため、移住労働者は、労働ビザの有効期限が過ぎて非正規状態に陥り、最終的に就労時に背負った借金返済が滞ったり、母国の家族に送金できなくなるのである。
移住労働者の地域ネットワークとして、権利擁護のための提言活動を行い、移住労働者のための社会正義に取り組んでいるMFA と、国連の移住問題に関する専門機関として適切に管理された移住の促進に向けて世界的に活動しているIOMはこのほど、移住労働者のために、また移住労働者とともに活動するために、それぞれの専門性と地域における強力な影響力を結合させたのである。
このパートナーシップは、移住労働者が倫理的な募集・採用、および人間的な労働・生活条件、効果的な救済にアクセスできるよう、地域社会ベースのアプローチに焦点を当てるものである。より具体的には、IOM と MFA は、企業活動において移住労働者の権利が十分に尊重されるために、企業を支援するという革新的なアプローチの展開を目指すものだ。
IOM ベトナム事務所のミア・パク(Miah Park)代表は、「市民社会組織は、移住労働者とそのコミュニティから信頼されている。政府、企業、国際機関は、移住労働者の声を代表する市民社会組織の経験と知識から学び、収穫を得ることができる」と述べる。
「MFA は IOM の長年にわたるパートナーであり、国際的なサプライチェーンにおける移住労働者の搾取を終わらせるための協力関係強化につながることを期待している」。
MFAのウィリアム・ゴイス(William Gois)は、「COVID-19 パンデミックにおいて露呈した移住労働者の脆弱性を目の当たりにして、募集・採用プロセスにおける説明責任、透明性、管理に関してより良いシステムを構築すべきであるという私たちの信念とコミットメントはさらに強固なものとなった。民間企業へのアプローチを強化するために、MFAは今回のIOMとのパートナーシップを歓迎する」と語った。
IOMは、「奴隷制度と人身取引の撤廃における企業責任(CREST)」と、「国際募集・採用完全システム(IRIS)」の取り組みを通じて、国際的なサプライチェーンにおける移住労働者の人権と労働権の保護強化に努めている。そこでは、IOMは他の関連機関・団体による取り組みと協力して、国際的な労働移動の倫理的なビジネスモデルを推進している。
<出典>
IOM, Migrant Forum in Asia Partner to Promote the Rights of Migrant Workers in International Supply Chains
<参照>
Corporate Responsibility in Eliminating Slavery and Trafficking (CREST)
International Recruitment Integrity System (IRIS)