ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします
第43会期人権理事会、再開(6/15-6/23)-アフリカ系の人々に対する人種差別を非難する決議など採択
新型コロナウィルス(Covid-19)の感染拡大のため休会となっていた第43会期国連人権理事会が6月15日に再開され、23日まで開催されました。同会期は2月24日に開催され、3月20日まで予定されていましたが、3月13日に決議の採択などを残したまま休会していました。その間、人権理事会はCovid-19の人権への影響について、人権高等弁務官や特別報告者などによる非公式のオンライン対話を行い、5月29日に、各国の感染症への対応において人権が尊重され、保護され、充足されることを確保するよう呼びかける議長声明を採択していました。
再開した人権理事会では、5月25日に米国でアフリカ系アメリカ人が警察の拘束中に死亡したことに端を発し、米国から世界各地において人種主義・人種差別に対する抗議行動が拡大していることを受け、アフリカ・グループを代表してブルキナ・ファソの要請に応じ、人種に基づく人権侵害、制度的人種主義、警察による暴力および平和的抗議行動に対する暴力について、緊急協議が行われました。バチェレ人権高等弁務官は、協議の基調発言のなかでジョージ・フロイドさんの殺害は、アフリカ系の人々、非白人、先住民族、人種的・民族的マイノリティに対する過剰な強制力の行使の象徴であり、世界各地で抗議行動が起こっていることをあげ、人種主義的発言や行為を非難するだけではもはや十分ではなく、それ以上のことが求められていると述べました。
人権理事会は、協議を受けて、ジョージ・フロイドさんや他のアフリカ系の人々の死をもたらした、人種差別的で暴力的な法執行を非難したうえで、人権高等弁務官に対して法執行機関によるアフリカおよびアフリカ系の人々に対する制度的差別や国際人権法違反に関する報告書を作成すること、および各国での抗議行動の参加者やジャーナリストに対する過剰な強制力の行使を含む、平和的な抗議行動への対応について調べることを要請する決議を採択しました。協議では、独立した国際調査委員会の設置の提案も出され、当初の決議案に含まれていたものの、最終的に採択された決議には含まれませんでした。
理事会はそのほか、移住者の人権に関する特別報告者、人権擁護者の状況に関する特別報告者、人種主義・人種差別および外国人憎悪の現代的形態に関する特別報告者、ミャンマー、北朝鮮、イランの人権状況に関する特別報告者などの任期を更新したほか、国内の紛争により、人権・人道状況が悪化するリビアの人権状況を調査するための使節団の派遣、ニカラグアの人権状況、食料の権利、出生登録などに関する決議を採択しました。
第44会期人権理事会は、当初の予定では6月15日に開催することになっていましたが、6月30日から7月17日にかけて開催されることになりました。
(構成:岡田仁子)
<出典>
Human Rights Council closes forty-third regular session after adopting 43 texts, including on establishing a fact-finding mission on Libya and on asking the High Commissioner to report on systemic racism against Africans and people of African descent (OHCHR , 23 June 2020)
<参照>
「第43回国連人権理事会の休会(3/13)、人権条約機関の会期延期」(ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ)