外務省(総合外交政策局人権人道課)は2020年10月16日、ビジネスと人権に関する行動計画を公表しました。アジアでは2019年10月に策定したタイに続くものです。
本文30ページにわたる行動計画は、「行動計画ができるまで(背景及び作業プロセス)」「行動計画」「政府から企業への期待」「行動計画の実施・見直しに関する枠組み」の4つの章から構成されています。
ビジネスと人権NAP(National Action Plan)は、2010年に出された「国連ビジネスと人権に関する指導原則」を国ごとに実施するために策定されるもので、指導原則のいわゆる第1の柱(国の人権保護義務)と第3の柱(救済へのアクセス)については、国がどのような行動(Action)をとるかを記述し、第2の柱(企業の人権尊重責任)については、国としてどのように促進または支援するかを記述します。
NAPは国が継続的に改定することを前提としており、今後は実施、モニタリング、改定のプロセスに移っていくことになります。
10月16日に日本政府が公表したビジネスと人権に関する行動計画について、「ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォーム」がコメント「ビジネスと人権NAP:すべては今後の取り組みにかかっている」を発表しました。
同プラットフォームは、NAPの策定プロセスに市民社会の視点を反映させるために2017年に設立されたネットワークで、ヒューライツ大阪も参加しています。
コメントでは、策定プロセスにおいて要請してきたポイントを8点にまとめた上で、「策定プロセスから実施・モニタリング・改定プロセスに移っていく今、私たちは改めてこれらの要請を繰り返さざるをえません」として、策定プロセスと内容が不十分であることを指摘しています。
そして、「指導原則の趣旨に沿った施策が実現するかどうかは、今後どのようにNAPが実施されるか、適切な評価指標によってどのようにモニタリングされるか、改定に向けてどれだけ真摯で透明性のある議論がなされるかにかかっています」とし、国内外で、とりわけコロナ禍と気候危機の中で人権をめぐる厳しい状況が続く中、行動計画が力を発揮し、行動計画に記されているSDGsへのコミットメントが内実を伴うことを求めています。
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(2020年10月19日 掲載)