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国連女性差別撤廃委員会、2020年11月29日「国際女性人権擁護者デー」を前に、サウジアラビアの女性人権活動家をはじめとする拘禁されているすべての女性人権擁護者の釈放を求める
以下は、国連女性差別撤廃委員会が、サウジアラビアで拘禁されている女性の人権擁護者擁護者に焦点をあてて2020年11月末に出したメッセージの翻訳です。
2020年11月29日の「国際女性人権擁護者デー」を控えて、国連女性差別撤廃委員会(以下、委員会)の独立専門家である私たちは、女性の人権を擁護し、社会のあらゆる領域でジェンダー平等と非差別を訴えるために委員会と関わり、さまざまな形態の報復にさらされてきた女性の人権擁護者に敬意を表します。
人権擁護者は、国連への自由で妨げのないアクセス、および国連とコミュニケーションをとる権利を有しており、いかなる種類の恐怖や報復からも自由な立場であるべきです。女性の人権擁護者は、現場の声と貴重な見識を委員会にもたらしており、委員会の勧告の普及、実施、フォローアップにおける重要なパートナーです。
委員会は、世界の多くの地域で報復に直面している女性人権擁護者を取り巻く状況を懸念しています。委員会が特に懸念しているのは、サウジアラビアの女性の権利活動家であるLoujain Al-Hathloul氏のケースです。同氏は数年間にわたり、女性の車の運転許可や移動の自由を求める運動など、同国における女性の権利促進に取り組んできました。彼女は2018年2月、委員会によるサウジアラビア政府の第3回・4回合同定期報告書の審査に際して、委員会を傍聴しました。委員会は、他の市民社会組織から提供された情報とともに、彼女の意見を評価しました。
しかし、2018年5月15日、彼女は逮捕され、それ以来、国家安全保障上の理由で拘束されており、恣意的な逮捕と拘禁にあたる状況であると報告されています。告発内容によると、Al-Hathloul氏が委員会に関与したことが拘禁の理由の一つとして挙げられています。
2020年2月、サウジアラビアは委員会に対し、Al-Hathloul氏の公判は2020年3月に開催されることを約束しました。しかし、それ以降、幾度も延期されています。この点に関して、委員会は、2020年2月27日に発表した「拘禁中のサウジアラビアの女性人権擁護者Loujain Al-Hathloul氏のサウジアラビア報告書審査への参加2周年に関する声明」を想起し、サウジアラビアに対し、「国際人権法によって確立された手続き上の保障を完全に尊重し、ジェンダー・バイアスのない公正な裁判を受ける彼女の権利を、これ以上の遅延なく確保する」ことを求めます。
委員会は、Al-Hathloulさんをハンガーストライキに追い込んだ長期拘束の状況に関する最近の情報に憂慮を表明します。受け取った報告によると、Al-Hathloul氏は、他の被拘禁者とは異なる扱いを受けているうえ、「女性被拘禁者の処遇および女性犯罪者の非拘禁措置に関する国連規則」(バンコク規則:2010年12月21日の総会決議65/229)の規則26と42に反して、家族との定期的な接触やジェンダーニーズを考慮した活動プログラムにアクセスすることが許可されていません。
私たち委員会の専門家は、とりわけハンガーストライキを続けていることに留意し、Al-Hathloul氏の身体的、精神的な健康、および幸福について強く懸念します。私たちは、サウジアラビア当局に対し、ハンストを行うことを含め、彼女の良心と表現の自由を十分に尊重しつつ、生命、健康、自由と人としての安全に対する彼女の権利をいかなるときも保護するよう強く要請します。
「2020年国際女性人権擁護者デー」にあたり、女性差別撤廃委員会は、サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール=サウード国王に対し、不当に長期化した拘束を止めてLoujain Al-Hathloul氏の釈放を実現するために、国王としての特権を行使するよう訴えます。
(翻訳協力:坂本 和歌子・ヒューライツ大阪インターン)
<出典> 国連人権高等弁務官事務所
Call by the Committee on the Elimination of Discrimination against Women to release all detained women human rights defenders, including Saudi women’s rights activist Loujain Al-Hathloul, in the wake of International Women Human Rights Defenders Day on 29 November 2020