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国連や国際NGO、新型コロナ・ワクチンへの平等なアクセスを求める数々の声明を発信
新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種が始まるなか、その供給は、一部富裕国の富裕層だけでなく、貧困や紛争などが原因で脆弱な立場に置かれている人々に対しても公平かつ迅速に分配されなければならないとして、国連をはじめ国際NGOなど数々の人権機関・団体がワクチンへの平等なアクセスが保障されるよう訴えています。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は2020年12月に発表したガイダンス(指針)で、「ワクチンは国際公共財として扱われるべきである」「国家間でのワクチンの不公正な配分や囲い込みは国際法規範をないがしろにするものである」「ワクチンはすべての人に負担可能で、差別なくアクセスできること」など8項目のメッセージを発信しています。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)ビャニマ事務局長は2020年12月9日、「私たちが持たなければならないのは、利益のためのワクチンではなく、人々のためのワクチンです」との声明を出しました。
国際移住機関(IOM)のヴィトリーノ事務局長は12月18日の国際移住者デーに寄せたメッセージで、「ワクチン接種が可能になれば、在留資格に関わらず移民も国のプログラムにおいて平等なアクセスが保障されるべきです。特別なグループとしてではなく、友人や隣人、同僚として」と述べました。
アムネスティ・インターナショナルは12月15日に出した声明で、12月10日の世界貿易機関(WTO)の主要国会議における「知的所有権の貿易に関連する側面に関する協定(TRIPS協定)」に対するインドや南アフリカによる提案に言及し、知的所有権保護に関する規定を一時的に適用停止するよう求めています。知的所有権の壁を取り払うことで技術移転を促し、後発の製薬会社がワクチンや治療薬を迅速に製造して安価に提供できるようにすることが必要だと述べています。
日本の国際協力NGOセンター(JANIC)は12月9日、グローバルに公正なワクチン供給の実現を求める声明を発表し、ワクチンを自国民のために独占的に確保するといった「ワクチン・ナショナリズム」の動向に懸念を表明したうえで、日本政府と国際社会に対して、ワクチンが公正に供給されるために国際協力を強化するよう求めています。
<参考サイト>
新型コロナワクチンの普遍的・公正な配分の必要性を国際機関が相次いで指摘
2020年12月18日(平野裕二 note)
国際移住機関(IOM)事務局長アントニオ・ヴィトリーノ 国際移住者デーに寄せたビデオメッセージ 2020年12月18日(IOM駐日事務所)
ワクチンの知的所有権の一時停止を急げ
2020年12月15日 (アムネスティ 国際事務局発表ニュース)
グローバルに公正な新型コロナウイルス感染症ワクチン供給の実現を求める
2020年12月9日 (特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC))
※ワクチンへのアクセスの保障に関して、上記をはじめ関連情報をヒューライツ大阪の特設サイト「新型コロナウイルスと人権」に掲載しています。
新型コロナウイルスと人権