ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします
名古屋入管に収容中にスリランカ人女性が死亡した事件に対して、東京弁護士会が厳正調査と「法の支配」を求める声明(3/24)
名古屋出入国在留管理局に収容され、体調が悪化していた30代のスリランカ人女性が3月6日に死亡した事件を受けて、東京弁護士会(会長:冨田秀実)は3月24日、事件の厳正な調査および「広範な裁量」による入管行政に対して「法の支配」を及ぼすことを求める会長声明を発表しました。
このスリランカ人女性は、2017年に留学生として来日したものの、在留資格を喪失し超過滞在となったことから、2020年8月に名古屋入管に収容されました。報道によると、2021年1月下旬から体調不良を訴え、施設内の医師や外部の病院で診察を受けていました。
上川陽子法相が調査を指示している一方、今回の声明は、入管内部で調査をするのではなく、監視カメラの映像や診療記録などの証拠保全をしつつ第三者機関による厳正な調査を行うべきだと述べています。
声明はまた、入管が被収容者に適切な医療を提供しない事件や、施設内で被収容者が死亡する事件が繰り返し発生していると指摘しています。今回、もし入管が仮放免を許可して解放していたならば、適切な医療を受けることができたかもしれないと述べています。しかし、仮放免の可否は入管の「広範な裁量」に委ねられ、恣意的に運用されていると現状の問題点をあげています。
さらに、収容期間や医師による診療・治療などに関しても、すべて入管の「広範な裁量」に委ねられており、出入国管理法は裁量を規制することなく、ほぼ野放しにしていると述べています。
そうしたなか、必要なことは、収容の開始と継続に対する司法審査、医療をはじめとする被収容者の処遇なども調査することができるよう既存の入国者収容等視察委員会の権限拡大を法律に明記することにより「法の支配」を及ぼすことだと強調しています。
<出典>
名古屋入管収容場における女性死亡事件の厳正な調査を求めるとともに、広範な裁量による入管行政に、法の支配を及ぼすことを求める会長声明(東京弁護士会、2021年3月24日)